
今、インターネット革命の中間地点にあって…
AI(人工知能)で未来を創るナンバーワングループ─―。GMOインターネットグループ グループ代表・熊谷正寿氏が掲げる企業としての方向性である。熊谷氏には、産業革命について、強烈な思いと持論がある。
「産業革命というのは、過去3回とも55年周期で動いてきました。だから、今回も55年なのかなと以前から思っておりまして、55年周期で見ると、今のインターネット革命もちょうど中間地点になります」という熊谷氏の認識。
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産業革命は1760年代、英国で始まり、蒸気機関の開発で蒸気船や鉄道が発明され、工業化が進んだ。これを第1次産業革命とすると、電気・石油による重化学工業の発展期が第2次産業革命、そして原子力エネルギーの活用やコンピューターの発達によるのが第3次産業革命である。
それぞれの産業革命の周期が55年として、熊谷氏は、日本のインターネット革命は、「(米マイクロソフトが開発した)Windows(ウィンドウズ)95と共にスタートしている」として、次のように述べる。
「Windows95がリリースされた95年から27・5を足すと、2022年の秋になります。その2022年の11月30日、3年余前ですね、その時にリリースされたのがサム・アルトマン率いるオープンAIのChatGPTです。本当に偶然なんですけど、インターネット産業革命のちょうど中間地点でリリースされました」
さらに熊谷氏が続ける。
「 ChatGPTをわたしが使い始めて、当初は楽しくてワクワクしていました。わたしは新しく出たものをすぐに自分で試す癖がありまして。毎日自分で使って、ワクワク、ドキドキしていたんですが、それがいつの日か、これはこのまま行くと危ないと思って。ワクワク感から、ある意味、緊張感というか、そういうものに変わっていった」
ワクワク、ドキドキ感が緊張感に変化─。
激動する時代に、経営者として熊谷氏は、何か心が大きく揺さぶられるものを感じ取ったということ。「それは、生成AIというものが、世の中に大きくインパクトを与えるのではないかなと。そういうふうに気持ちが変わっていきました」
オープンAIのChatGPTが開発されて間もなく、年が変わった2023年になると、「この生成AIによる社会的影響を考えて、グループ全体がこの変化に合わせていかないと、恐らく会社が沈下して、なくなってしまうんだろう」と熊谷氏は感じ始める。
生成AIがインターネット革命の残り27・5年、つまり「後半戦の主役になる」と熊谷氏は確信し、「そこに最もフィット(適合)した会社にならなければいけない」と直感したというのである。
一騎当千プロジェクトでグループ全体の自動化を
『一騎当千プロジェクト』―─。生成AIは人間社会のあり方を根底から変えていく。
熊谷氏はAIネイティブ人材育成に今、経営者としてのエネルギーを重点的に注ぐ。AIを抜きにして、今後の経済は考えられず、人とAIとの共生をどう図っていくかという命題。
「財界 BEST AI 100」AIの活用で社会課題解決に貢献、 イノベーションを推進
同時に、セキュリティの問題や、ハルシネーション(幻覚)といわれる一見自然に見えるものの、事実とは異なる回答をする─といった課題も生成AIは内包する。
課題を内包しながらも人間社会に大きなインパクトを与えるAIにどう対応していくか。GMOの場合、グループ全体(約120社、うち本社を含めて上場企業は11社)は業務のハイパー(超)なオートメーション化(自動化)を実践するという戦略を取る。
熊谷氏はそれを、『一騎当千プロジェクト』と呼ぶ。グループ全社員(8000人強)が1人ひとり、ハイパーオートメーション化を実践しないと、時代の要請に応えられないという氏の危機感から、このプロジェクトは生まれた。
「(オープンAIの)ChatGPTがリリースされてから5年目にあたる年に、ハイパーオートメーション化された、日本で最も先進的なAI活用をしているグループになるという目標を掲げました」
熊谷氏は、会社業務の自動化を推進するAIエージェントというサービスに注目。「このAIエージェントというサービスの活用度合いをもっと高めなければいけないと思っていまして、これがちょっと、グループ8000人だけでは足りないと思っています」と語り、AI人材のスカウト、採用を急ぐ。
熊谷氏が、スピードを重視して事業計画を実践・実行しているのは、AIの急速な進化を念頭に置いているからである。
一昨年(2024)には、AIとロボットのそれぞれの機能を結び付けて、さまざま領域で支援を行う総合商社『GMO AI&ロボティクス商事』(GMO AIR)を新たに設立。
「AIとロボティクスは相思相愛の関係にあり、GMOはその結び役になると。われわれはAIをつくるわけでも、ロボットをつくるわけでもありませんが、世界中のAIやロボットの情報を集めて、どんどん紹介していく。2つの結び役になっていくということです」
インターネット革命の後半期を迎えて、インターネット社会の頭脳を担うAI(人工知能)とフィジカル(物理的、機能的)な役割を果たすロボットをつなぐことで、GMOグループのミッション(使命)を果たしていくという熊谷氏の考えだ。
2020年11月オープンAIが対話型のChatGPTを公開した1年半後(2024年6月)に、早くも熊谷氏は『GMO AI&ロボティクス商事』を立ち上げたということ。
AIもどんどん進化する時代。これまで情報と記憶だけを活用したAIから、自ら判断して未来の予測も行う主体的・自律的な生成AIの時代へと急速に変化していることに真正面から向き合おうという熊谷氏である。