【国土交通省】マンション高騰で転売抑制策 価格抑制の効果は限定的か

大手不動産会社などが加盟する不動産協会が、新築分譲マンションの転売抑制策を打ち出した。投資目的による短期売買が住宅価格高騰を招いているとの批判が高まる中、購入から物件引き渡しまでの間の転売禁止を業界指針として掲げる。転売抑制には一定の効果が見込まれるものの、手が届きやすい価格の住宅を求める中間所得層の期待とは乖離がありそうだ。

 不動産協会は25年11月、短期転売問題への取り組みを公表。一般公募物件について①売買契約締結から引き渡しまでの売却活動禁止②購入戸数の制限③申し込み名義での引き渡し・所有権登記の徹底―─の導入を柱とした。

 対象となるエリア・物件、実施時期といった細かな運用は各社の判断に委ねられる。今回の抑制策について協会は「(短期転売に)ある程度の抑止力は持つが、効果の検証は難しい」とした。また、所有権が移転した引き渡し後の規制は、憲法が保障する財産権侵害に当たる可能性があり、難しいとの立場だ。

 短期転売がここまでやり玉に挙がった理由は、都市部中間層の住まい確保が困難になっているためだ。

 国土交通相の金子恭之氏は25年11月の記者会見で、価格上昇の背景について「需要と供給の両面でのさまざまな要因があり、(国交省の短期転売)調査のみで短期売買による影響を特定することは困難だ」との見解を示した。

  金子恭之・国交相

 一方、首都圏の新築マンション平均価格は1億円前後で推移しており、外国人を含めた短期売買が価格をけん引しているとの言説が広がっている。

 住宅政策はこれまで以上に注目されるだろう。政府・与党は住宅ローン減税の期間延長や中古住宅向け拡充策を進めるが、都市部での購入を望む中間層には十分とは言えない。東京都が供給する「アフォーダブル(手頃な価格の)住宅」に住めるのは、今のところ幸運な300世帯に限られる。安心して暮らせる住まいの確保を求める声はやみそうにない。

【改めて賃上げは進むのか?】第一生命経済研究所・首席エコノミスト 熊野 英生