Windows Centralは1月17日(米国時間)、OpenAIのChatGPTに続きMicrosoft Copilotも広告を導入するだろうとの予測を伝えた。AIを取り巻く環境が厳しさを増しており、財務体質の改善が喫緊の課題となっている。

ChatGPTの無料版、「Go」プランのチャットに広告配信

OpenAIは1月16日(現地時間)、XでChatGPTに広告を導入すると発表した。無料版および「Go」プラン利用者のチャットに広告を配信し、収益を拡大する方針を示した。

OpenAIの最高経営責任者(CEO: Chief Executive Officer)を務めるSam Altman氏は、これまで広告配信を避ける姿勢を示していたが、直近の財務状況を踏まえ方針転換を迫られたとみられる。Windows Centralはこの流れが株価の下落傾向にあるMicrosoftにも影響すると予想。Microsoft CopilotアプリおよびWebサービスとしてのCopilotにも広告配信の波が押し寄せる可能性がある。

なお、MicrosoftのAI検索サービス「Copilot Search | Microsoft Bing」ではすでに広告配信が行われているが、これはBing検索の延長線上にあるサービス。今回の議論の本筋ではないため、Windows Centralは分析評価の対象としていない(参考:「Copilot の広告について」)。

AI競争激化とMicrosoftへの影響

OpenAIが広告導入に踏み切った背景の一つとして、Google Geminiの急速な性能向上が指摘されている。Googleはサーバ、クラウド、検索、Androidといった基盤を自社で抱え、AI開発を支える体力とAI技術の活用先となる各種サービスを保有する強みがある。

対照的にChatGPTは利用者獲得の多くをアプリに依存し、計算資源の大半を外部に頼る構造が続いている。利用者数は膨大だが、収益構造は脆弱とされ、1兆ドルに迫る莫大なインフラ投資の支払いが重荷となっている。

これらOpenAIの経済的苦境とAI技術の優位性の低下は、協力関係にあるMicrosoftにも暗い影を落としている。自社開発したAIモデル「MAIシリーズ」の低評価によりOpenAIへの依存体質を改善できず、OpenAIとGoogleとの差がそのままサービスに影響。さらに、設備投資の増大と電力不足なども相まって投資家たちを不安にさせ、株価の下落傾向が続いている(参考:「Gemini 3 ProがAI市場の風向きを変える、Microsoftの戦略に暗雲か? | TECH+(テックプラス)」)。

Copilotが抱える収益化の壁

収益構造においては、Microsoft CopilotもChatGPTと同様の課題を抱えている。CopilotはWindowsアプリやWebサービスにて無償提供されているが、有償プランの加入者を増やさないことには利益にならない。一方で、競合のAppleやGoogleはアプリ課金で安定収入を得る構造を持ち、モバイルプラットフォームの構築に失敗したMicrosoftとは状況が異なる。

とはいえ、Microsoftは企業向けサービス、クラウド、Windowsで成功しており、OpenAIのように直ちに広告配信に踏み切る必要はない。この点について、Windows Centralは近年高止まりを続ける世界的なインフレの影響を指摘している。

インフレは一般的に物価の高騰を意味する。企業目線で見た場合、商品の販売数に変化がなければ値段上昇分だけ売り上げが増加し、一定の利益率を維持すれば収益の増加につながる。インフレ率に見合うだけ従業員の給与が増加すれば皆生活を維持できるが、変化がない場合は実質的な給与の減少を意味する。これは投資家にとっても同じで、実質的な配当の減少を避けるために企業に対して収益の拡大を求める圧力になる。

Windows CentralはMicrosoftも投資家からこの要求を受けていると述べ、収益に結び付かないAIサービスの改善が議題になると指摘。この解決策として広告を選択するのは明らかと説明している。

ユーザーにとって広告配信は煩わしい存在だが、ChatGPTやCopilotではあまり問題にならないだろうと予想されている。AIチャットの操作性や応答速度に与える影響は小さく、無償ユーザーは当然として受け流し、有償の企業ユーザーには表示されないことがその理由だ。

Microsoftがどのような経営判断を下すかはまだわからない。Copilotアプリの広告配信は前向きに受け止められる可能性がある。しかしながら、AI関連の収益構造を全面的に改善した場合、同社が目指すAI OSの行く末については懸念が拭えない状況と言える。