帝国データバンクは1月16日、2026年の注目キーワードについて、企業に対してアンケート調査を実施し、その結果を公表した。調査は2026年1月9日~14日にインターネット調査で行い、有効回答企業は1247社。

地政学リスクを懸念

同社が企業に対して2026年の注目キーワードについて尋ねたところ、台湾問題や日中関係、対中依存などの「チャイナリスク」をあげた企業の割合が74.8%でトップとなり、以下、トランプ関税やドンロー主義(ドナルドとモンロー主義を組み合わせた造語)などの「アメリカ・ファースト」(63.7%)が続き、海外取引の有無に関わらず地政学リスクを懸念する企業が多くみられた。

次に、物価や賃金の上昇に関わる「円安インフレ」(58.6%)、「賃上げ圧力」(49.2%)が上位となり、企業や個人での活用が進むなか、「AIバブル」(41.8%)は5位にランクインした。

また、高市政権が掲げる「責任ある積極財政」(38.3%)や17の戦略分野に含まれる「半導体産業」(36.6%)、「サイバーセキュリティ」(35.9%)、「防衛産業」(29.7%)があがったほか、「重老齢社会(後期高齢者5人に1人)」(36.2%)を3割の企業が注目するキーワードにあげた。

「チャイナリスク」をキーワードに選んだ企業からは「中国との関係悪化により長期にわたる景気の低迷を懸念。逆に、脱中国による販売機会が増えると期待」(機械製造)といった声が聞かれた。また、「世界は米国、中国に振り回されて大きく変貌を遂げるきっかけとなる1年になると思う」(専門サービス)と、米中関係や両国と日本の関係など国際問題による経済への影響を懸念する企業がみられた。

「円安インフレ」や「賃上げ圧力」を選んだ企業からは「円安によって原材料などの企業物価が上昇している」(飲食料品・飼料製造)や「最低賃金は年々上がり続け、物価は上昇しているものの、中小企業の価格交渉は難しい」(化学品製造)といったコメントが寄せられた。

  • 2026年の注目キーワード トップ20

    2026年の注目キーワード トップ20

業界別の注目キーワード

業界別に、全体より10ポイント以上高かった注目キーワードをみると、「運輸・倉庫」では2024年問題(トラックドライバーの時間外労働に年間960時間の上限規制が適用)を背景とした運賃の値上げとともに、給与への反映が求められ「賃上げ圧力」(64.2%、全体比+15.0ポイント)が全体を大きく上回ったほか、旅行代理店などから「オーバーツーリズム」(24.5%、同+11.0ポイント)も目立った。

「小売」では、季節に応じた商品の需要変動が大きいアパレル関連の企業を中心に「二季の国(夏冬二季化)」(33.3%、同+14.9ポイント)が上位にあげられた。また、人手不足が続く「建設」では「脱・働き方改革」(34.6%、同+13.4ポイント)が注目されている。

アンケートの結果、2026年の注目キーワードに「チャイナリスク」をあげた企業が4社に3社に達し、日中関係の悪化は収束の見通しが立たないなか、日本への渡航自粛に続いて、レアアースの輸出制限が中国政府から表明されるなど、実体経済への影響が懸念されるという。

次いで「アメリカ・ファースト」も6割を超える企業で注目されており、日本と米中双方の関係だけでなく、米中関係による影響も目が離せない状況といえ、海外取引の有無に関わらず多くの企業が国際問題による影響を注視している様子がうかがえたとのこと。

また、企業経営におけるコスト負担が年々増すなか「円安インフレ」「賃上げ圧力」といった物価や賃金の上昇に関するワードも続いた一方で、成長著しく、企業・個人での利用が進む生成AIブームなどを背景に「AIバブル」も上位に並んだ。

  • 2026年の注目キーワード 業界別

    2026年の注目キーワード 業界別

注目されるキーワードを通じて2026年の企業を取り巻く環境は、国際問題やコスト負担増など厳しい状況が予想される。そのようななか、高市政権による各種政策がどれほどの効果をもたらすのか、衆議院解散意向の報道が流れるなかで、政府による外交政策や経済対策、成長戦略などが引き続き注目される。