TMC社長・村田隆雄が語る「売れない時代に売る セールスプロモーションの意義」

モノが溢れる今、どんないいものをつくっても、売れるとは限りません。まさに売れない時代に、いかに売るかが大きなテーマになっています。

 2026年で25期目を迎える当社は主にお客様であるメーカーの商品の売り方を考え抜き、販売什器やキャンペーン、イベントなど多岐にわたるプロモーションツールを提供するセールスプロモーション事業を展開しています。私自身は前職から30年以上にわたって、常にお客様の商品を売るための仕掛けづくりに身を投じてきました。

 当社の事業展開で分かりやすい事例を言えば、新しい化粧品が発売されると、ドラッグストアなどの店頭では、芸能人の等身大のパネルなどと共に新商品が陳列されている風景をよく目にすると思います。これらの企画から印刷・設置・搬送などを当社が一気通貫で対応します。

 その中でも当社の最大の特長は小ロットでも対応できるという点です。例えば、大手食品メーカーであれば全国に展開する宣伝ポスターの枚数は1万部を超えたりします。一方、メーカー先の各営業所で使用するポスターの場合は3枚ということもあります。どちらにも対応することが当社のポリシーなのです。

 そのため、当社には迅速に小ロットでもPOP(販促物)や什器を作る専門の製作会社「TMF」もあります。人気アニメのフィギュアが飾られている棚を見たことがある人もいると思いますが、同じ陳列パターンはほとんどありません。それらの大半は当社が手掛けています。

 ただ、通常、小ロットは非効率で経費がかさむもの。多くの代理店はやりたがりません。しかし、実際の現場では、毎日のようにメーカーの営業マンが店舗を回って、1つでも多く売ろうと、陳列する場所を移動させようとします。すると、店舗からは移動させて売れるようにするためのPOPなどが求められるわけです。ですから、当社のPOPや什器は毎日のように発生するのです。

 さらに最も大切なことは小ロットのような、どんなに小さな仕事であっても、お客様が困っていることに対して断ることなく対応してきたという信頼の積み重ねにつながっているということです。だからこそ、後にコンペに招待してもらってクリエイティブな仕事をいただけるといった成果につながるのです。

 当社は販促物を作るだけではありません。ダイレクトメール(DM)の効果の最大化も支援しています。通常、DMは開封されず仕舞いのケースが多く、反応率は0.5%前後と言われていますが、あるカード会社では、当社のサービスを使用した結果、6.4%の実績を得ることができました。

 そのサービスが1990年代後半に社会現象を起こした「動物占い」の開発メンバーの一人が20年がかりで100万人を調査し、その蓄積されたデータを基に開発した「SP-Brain(エスピーブレイン)」です。生年月日を基に相手の性格を判断し、その性格別に〝刺さるクリエイティブ〟をDMなど向けに制作できます。

 人に寄り添うサービスを─。家業の酒屋に生まれ、1980年代を奈良県の酒屋に丁稚奉公として過ごしました。とにかくお客様の御用を聞いて行動する。人のために尽くすという思想は、このときに自然と根付いたのかもしれません。今ではそれが当たり前になっています。

 メーカーの本業はモノをつくること。それに対して我々は黒子としてセールスプロモーションでモノが売れるお手伝いをする。この姿勢は今後もブレることなく貫いていくつもりです。

弁護士・久保利英明の【わたしの一冊】『カンパニー・ロイヤーへの道程』