【2026年をどう占いますか?】 答える人 ヤマトホールディングス社長・長尾 裕

26年は「宅急便」開始50年 ネットワーク上で付加価値を

 ─ 小室さんからは労働力人口の興味深い分析が示されましたが、ヤマトホールディングス社長の長尾裕さんには物流・宅配市場の26年を伺います。

 長尾 物流の中の宅配市場を見ると、25年の取扱個数は50億個を超え、ほぼ前年並みです。宅配の中でトラックが運んでいる比率は98%です。

 一方で、国内貨物の輸送量は60年ぶりに40億トン割れで、4年連続の減少が見込まれています。背景には法人のお客様をはじめ、いかに効率的な輸送を心掛けるかを物流事業者だけでなく、荷主サイドでも2024年問題の啓蒙が進んだ結果と言えるでしょう。

 ─ そうすると、今後、他社との提携や再編などが起こり得るということですね。

 長尾 既に動き始めています。24年に同業のナカノ商会が当社の傘下に入り、同社の強みである倉庫を活用した3PL(物流の一括受託)を企業向けの物流で提案しているところです。こうした動きがどんどん進んでいくだろうと思います。

 ─ 一方で貨物専用機の導入など、輸配送ネットワークの整備も進めていますね。

 長尾 お陰様で「宅急便」が26年1月20日で50周年を迎えます。当社はもともと関東に定期便ネットワークのある会社でしたが、そこから日本全国に宅急便ネットワークをつくりました。それが完成したのが1997年です。

 現在は全国に約80カ所のターミナルと約2800の営業所があるのですが、中には古い施設もあり、順次建て替えたり、移転・集約して生産性を上げるような取り組みを続けています。

 ─ 様々な事業を展開できる拠点になりませんか。

 長尾 はい。そこで当社は「統合型ビジネスソリューション拠点」と位置づけ、荷物の仕分けをするターミナルをお客様にもご利用いただき、そこでお客様の商品の在庫を管理・調達したり、次の工程に向けた付加価値を付けたりすることができる拠点にしていきます。

 13年に羽田空港近くで開設した総合物流ターミナル「羽田クロノゲート」が1つの先進事例になりますが、このような統合型ビジネスソリューション拠点を10月に福島県郡山市で開設しました。全国で増やしていく予定で、宅急便ネットワーク上で付加価値を付けていく取り組みをどんどん進めています。

 ─ 宅急便の役割も大きく変わるということになりますね。

 長尾 そうですね。従来の宅急便だけの視点ではなく、地域に入り込み、その地域の課題をどう解決するか。ただ、課題解決だけではビジネスとして成立しません。ですから、課題解決をすることで、いかに経済価値を生み出すかが、我々のすべきことではないかと思っています。

【鉄道の運営ノウハウの海外輸出へ】女王の名を冠する英国地下鉄の運営を受託 海外鉄道への〝ソフト輸出〟を狙う東京メトロ