【2026年をどう占いますか?】 答える人 大日本印刷社長・北島義斉

花開くまでに10~15年 印刷技術の応用で多角化

 ─ 企業業績は比較的好調という永井さんの見方でしたが、多面的な最先端産業に取り組んでいる大日本印刷社長の北島義斉さんの業界予測とは。

 北島 従来の出版印刷は、かなり厳しい状況が続くと思います。一方で当社は事業の多角化を進めており、25年上半期は写真関連部門が成長したほか、ディスプレイに使われる「光学フィルム」や有機ELディスプレイ製造用「メタルマスク」などのエレクトロニクス関連部門、通常のパッケージ部門も原材料価格の転嫁などを含め、業績は好調に推移しました。

 ─ 多角化を実現できる強みは、どこからくるのですか。

 北島 基本の技術は全て印刷技術の応用になります。当社の収益性の高い事業分野は、基本的に印刷技術を応用してつくり出し、それが花開いている。ただ、それらの大半は花開くまでに10~15年かかっています。

 ですから、社員には「従来の事業もたくさん時間がかかってきた。少しぐらい失敗してもいいから新しいものをどんどんやろうよ」と言っています。

 ─ 多少の失敗は次の糧になるということですね。

 北島 そうだと思います。今までも途中で失敗したものが、たくさんあります。しかし、その中から試行錯誤して事業として育ってきたのです。

 例えば、23年に養殖魚の飼料(餌)に必要なタンパク質源として昆虫の幼虫を飼育する事業を始めました。当初は食用で考えていたのですが、それは少々難しいと。そこで「魚の餌にする」という発想に切り替えました。鯛などの養殖魚の飼料コストが高騰して大変だと。しかし当社の技術を活用して餌のコストを下げることができれば、養殖が楽になります。

 他にも世界トップシェアのリチウムイオン電池用バッテリーパウチも、もともとは食品のパッケージ技術を高度に応用し、試行錯誤の末に電解液を漏らさない気密性や高電圧に対応した絶縁性を実現したものです。

 ─ まだまだ未開拓領域がたくさんあるということですね。海外展開の現状を聞かせてください。

 北島 当社が直接海外に売っている製品と、部材としてメーカーさんに納めている製品などがあり、海外展開もそれなりに進んでいます。大型テレビ向け光学フィルムをパネルメーカーさんに納め、完成品に至る。最終製品に当社の製品が使われているケースは多いと思います。

 ─ オランダに海外初の研究開発拠点をつくりましたね。

 北島 当社の研究開発拠点は日本が中心ですが、海外の先端技術や研究開発ネットワークを採り入れるためにつくりました。次世代半導体の技術の一つとして注目される光電融合などを研究・開発します。今後も海外の研究開発拠点を増やしていこうと思っています。

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