
「都市鉱山のデジタルツイン」成熟国家・日本の進むべき道
─ つながりを大事にするという野本さんの訴えでしたが、分断・分裂の世界情勢の中、三菱総合研究所理事長の小宮山宏さんは26年の日本の立ち位置をどう考えますか。
小宮山 米国を含めて世界がどのように変わるか分からない時代となりましたが、確実に言えることは経済のブロック化が進むということです。その中で日本は成熟国家の社会インフラをつくる姿を見せるべきではないかと思うのです。その意味では、日本企業は国内投資をもっと本気で行うべきだと思います。
NISA(少額投資非課税制度)の買付額は約27兆円と言われていますが、そのうちの約8割が海外投資の株に向かっています。これでは国内に資金が回っていきません。国内には太陽光などの再生可能エネルギーや森林資源があります。こういったところに資金が回るべきです。
─ もっと国内に目を向けるべきだということですね。
小宮山 ええ。しかも、AI(人工知能)時代を迎え、これから力を入れるべきなのは「都市鉱山のデジタルツイン」です。
ガラスやプラスチック、鉄、レアアース、貴金属などの各資源を収集するプラットフォームをネット上でつくり、業界の垣根を越えて各社で集めていこうと。しかも、都市鉱山の資源は自然鉱山よりも10~100倍も品質が高いのです。
成熟国家の日本では自動車も約8000万台で飽和し、エアコンなどの家電製品もそうです。これらの中にはレアアースが使われています。ですから、それらを集めるシステムさえ作ればいい。自動車では集めるシステムはできていますが、ハイブリッドの駆動に使われている磁石など、一部を除いては回収する仕組みができていません。
─ 機関投資家にも訴えたいポイントになりますね。
小宮山 はい。それともう1つは先ほどの再エネです。遊休農地を活用したソーラーシェアリングにも本気で取り組むべきです。遊休農地で発電しながら農業を行うソーラーシェアリングは両方とも1次産業で、これを全国で実施できれば、今の発電量の5倍の電気を生み出せますし、農家の所得も約4倍になると見込まれます。
そうすれば若い人も農業をやる気になるはずですし、資源も国内で完全に循環する社会になります。まさにそれが我々の目指す50年のプラチナ社会の物質的要諦です。
─ そういったビジョンを示していくべきですね。
小宮山 そうです。米国はまだ途上国的な部分があります。人口は増えていますので古典的なインフラが足りなくなっているからです。しかし、日本は成熟国家です。成熟国家としての歩むべき道をしっかり示していくことが非常に重要なのです。