【経済産業省】経済安保で企業向けのガイドラインを取りまとめ

経済産業省は、企業向けに経済安全保障の視点を経営に反映できるよう支援する「経済安全保障経営ガイドライン」(1.0版)案を取りまとめた。地政学リスクなどへの対応を促すことで、企業価値の維持・向上だけでなく、日本全体の経済安保の確保にもつなげたい考えだ。

 ガイドライン案は、主に経営者を対象としつつ、経済安保に関する共通認識を醸成する観点から取引先や利害関係者との対話にも活用できるとした。外国による輸出管理強化や優位性のある技術の流出など、国内法令の順守だけでは対応できないリスクに焦点を定めた内容となっている。

 まずは、経営者が認識すべき原則として、①自社ビジネスを正確に把握し、リスクシナリオを策定すること、②経済安保への対応を単なるコストではなく、投資と捉えること、③マルチステークホルダーとの対話が欠かせないこと――を掲げた。

 その上で、特定の国に過度に依存しない「自律性の確保」、国際社会にとって欠かせない存在となる「不可欠性の確保」といった経済安保上重要な概念に関する取り組みを記述。これらを実行するために必要なガバナンスについても言及した。

「自律性の確保」では、自社が直面し得るリスクを重要度や緊急度などに応じ検討し、代替調達や備蓄などの対策を検討することを推奨。「不可欠性の確保」では、自社の中核的な技術の流出対策を検討し、懸念がある場合は経産省に相談するとともに、同様の技術を持つ企業との対話を行うことを勧めた。

 ガバナンス強化に関しては、自社の経営資源だけでなく外部専門家や政府などとの対話を通じた情報収集体制を整備することを進言。自社データと組み合わせ、リスクの特定・評価に加え、ビジネス機会の創出も模索すること、迅速な対応ができる組織体制を整えることも重要だとした。

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