札幌商工会議所は12月2日、中小企業のAI活用や業務効率化、生産性の向上などの課題解決に向けたITソリューション展示体験会「業務改善EXPO」を北海道経済センター(札幌市)で開催した。

札幌商工会議所は中小企業を中心に約2万社の会員企業が加盟する、札幌市で最大の経済団体。会員数は東京、大阪に次いで全国3位となっている。同会議所は、建設、情報、ものづくり工業、観光・運輸など10の部会があり、建設業や飲食店、IT関係、サービス業など、さまざまな企業が加盟している。札幌商工会議所は、今回で2回目となる「業務改善EXPO」を三城、NTT東日本の協力の下、開催した。

会場は、業種に特化したソリューションを紹介するAホールと、業種によらないソリューションを紹介するBホールに分けられ、それぞれ21社、25社の計46社が出展。当日は、多くの会員企業が来場した。

  • Aホール会場

  • Bホール会場

ITツールを札幌の企業に知ってもらう場を提供

札幌商工会議所 産業振興部 情報・ものづくり課 今井颯馬氏

札幌商工会議所 産業振興部 情報・ものづくり課 今井颯馬氏

札幌商工会議所 産業振興部 情報・ものづくり課 今井颯馬氏は「業務改善EXPO」開催の狙いについて、次のように説明した。

「今回のイベントは、さまざまなITツールを札幌の企業の方に知ってもらうための場として開催しました。私は中小企業のデジタル化に関する相談窓口を担当しており、最近は『人手不足をどう解消すればよいか』『売上向上に有効なデジタルツールはないか』といった相談が増えています。また、ITツールを導入するにあたって、補助金の情報を求める方も増えています」

補助金に関しては、NTT東日本サービスが、IT導入補助金や中小企業省力化投資補助金、中小企業経営強化税制、小規模事業者持続化補助金、事業再構築補助金など、国や自治体の補助金申請の支援を行うサービスを紹介していた。このサービスは基本的に成功報酬型で、IT導入補助金や中小企業経営強化税制は補助金額の10~15%が目安だという。

  • 補助金支援のイメージとフロー

    補助金支援のイメージとフロー

また、このイベントでは生成AIのビジネス活用に関するセミナーを3つ(「スマホで体験!業務に活かすAIの第一歩」「デモで納得!今日から使える業務効率化のヒント」「“AIっぽい文章”と言われない人になる秘訣!」)を開催した。

「生成AIへの関心は高まっており、展示会においてもAIに関連するサービスの出展は多くありました。今後も、デジタル化に向けた情報提供や実際にITツールに触れられる展示会など、セミナーやイベントを幅広く展開していきたいです」(今井氏)

NTT東日本はカスハラ対策ソリューションを紹介

Aホールの入り口では、昨年と同様、SB C&Sが配膳・運搬ロボット「Keenbot(キーボット)」を展示していたが、今年は、つうけんもエレベータと連携し、自動でフロアを移動する掃除ロボット「KIRARA」とホテルや病院などで使われるデリバリーロボット「NAOMI-2ロボット」を展示していた。これらのロボットには携帯のSIMが内蔵され、エレベータにエイム・テクノロジーズの通信モジュールを取りけることで、エレベータの昇降が可能になるという。

  • つうけんの「NAOMI-2ロボット」

    つうけんの「NAOMI-2ロボット」

同じくAホールでは、NTT東日本が統合脅威管理アプライアンス(UTM)のSS7000Ⅲやカスタマーハラスメント(以下、カスハラ)対応機能を持つ「トビラフォンBiz」、 迷惑電話ブロック機能や音声をテキスト化する機能を備えたビジネスフォンの「αZXⅡ」を展示していた。

  • NTT東日本のブース

    NTT東日本のブース

「SS7000Ⅲ」は、ルータ(無線LANを含む)やファイアウォールといったネットワーク機能のほかに、ウイルス・ランサムウェア対策、スパムメールやフィッシングメール対策等のセキュリティ機能も備えた機器で、10~15名程度の中小企業を対象にした製品だという。外部から社内に接続するためのVPN機能も提供する。

  • 「SS7000Ⅲ」

    UTM「SS7000Ⅲ」

「トビラフォンBiz」は通常のビジネスフォンに接続することで、通常の電話機能のほか、営業時間外や休日を設定し、音声アナウンスや留守番電話に切り替えられるスケジュール設定機能、「○○についてのお問い合わせは1番、●●についてのお問い合わせは2番」など音声ガイダンスで振分けを行い、適切な部署などに着信させる自動音声ガイダンス(IVR)を提供する。通話は自動で文字起こしが行われ、PCやスマートフォンで確認可能なテキスト化機能もある。また、カスハラ対策として、1000時間以上の全自動通話録音や3万件以上のリストによる迷惑電話、営業電話のブロック機能もある。

「αZXⅡ」は、NTT東日本のビジネスフォンで、スマートフォンを会社の電話代わりに使える機能や「トビラフォンBiz」と同様の迷惑電話・営業電話を自動的にブロックする迷惑電話ブロック機能、国番号を登録することで特定の国からの着信も拒否する機能、音声テキスト化機能などを提供する。

生成AIを活用したソリューションの展示

A・Bの両会場では、生成AIを活用したソリューション展示が目立った。

SYSNAGは、AIエージェントにより音声で注文を受け付けるソリューションや、社内のデータを分析して可視化するソリューションを紹介。オーダーメイドで、1~2カ月でAIエージェントを開発することができるという。

  • SYSNAGは、AIエージェントとしてドライブスルーで音声によるハンバーガー注文アプリなどを紹介

    SYSNAGは、AIエージェントとしてドライブスルーで音声によるハンバーガー注文アプリなどを紹介

ACJは、文章や画像を自動生成する「ZiDOKA Greeting AI」を紹介。同製品はAIを使って取引先への季節の挨拶や年賀状メールを作成し、メールで送信することができるという。

  • ACJの「ZiDOKA Greeting AI」

    ACJの「ZiDOKA Greeting AI」

PTSは「掬びAI for 介護」という“介護・看護に特化した”対話AIシステムを紹介。このシステムは入居者との会話を分析し、困りごとや心身に変化の予兆がないか見守る。今後は、生成AIがお年寄りの会話や過去のエピソードを学習しながら、その人にピッタリな会話ができるようにしていくという。

  • 将来はこの人形が、お年寄りの会話や過去のエピソードを学習しながら、その人にあった会話ができるようにしていくという

    将来はこの人形が、お年寄りの会話や過去のエピソードを学習しながら、その人に合った会話ができるようにしていくという

CNS北海道は、生成AIの導入支援サービスを紹介。利用したいユースケースに合わせ、生成AI「Claud」のプロンプトを作成するほか、定期的に勉強会を開催して、生成AIの定着を図っていくという。

  • CNS北海道は、生成AIの導入支援サービスを紹介

    CNS北海道は、生成AIの導入支援サービスを紹介

プロンプト不要の生成AIサービス「POPstation」を紹介していたのは、朝日広告社だ。同サービスでは「モード機能」により、メール作成や企画書チェックなど、どういった用途で使うのかというモードを40種類以上の中から選択し、要件を入力すると生成AIが回答を返すというもの。Gemini、GPT、Claudeなど複数のAIモデルが利用可能だという

  • プロンプト不要の生成AIサービス「POPstation」

    プロンプト不要の生成AIサービス「POPstation」

業務効率化に向けたソリューションの展示

業務効率化に向けては、NTT-MEがWebプラットフォームサービス「DigiFeeX」(デジフィー)の点検・報告・管理業務をペーパーレスで実現する「レポート作成Web」を紹介。このアプリは、入力フォームを作成してデータを入力すると、定型のフォームでレポートや報告書を作成してくれるもの。写真を貼り込むこともできる。

  • NTT-MEの「レポート作成Web」

    NTT-MEの「レポート作成Web」

同社は人流分析ソリューションも紹介。これはスマートフォンのGPS、Wi-Fi、Bluetooth、携帯基地局、カメラ映像から人数や属性、人の動きのデータを取得し、グラフや地図などのダッシュボードに表示する。人流データを活用した観光・防災・まちづくりの政策策定とデータ分析などに利用できるという。

  • NTT-MEの人流分析ソリューション

    NTT-MEの人流分析ソリューション

沖電気は製品や設備品のロケーション・在庫管理システム「SHO-XYZ」(ショザイ)を紹介していた。同システムはFタグやQRコードを活用して屋内外問わず荷物位置のロケーションや在庫管理が行える。保管場所登録は、保管場所の手動選択のほか、GNSSやBeacon・RFタグを活用した自動測位に対応している。また、追跡に必要な機器をマテハン機器へ後付することで、利用シーンを選ばずに導入できる仕組みを実現しているという。

タクトは、「人々を支えるDX」をテーマとして、自社で開発した「ビデオ通話型情報共有システム」を紹介。これはビデオ通話を通じて、情報共有し、現場の状況把握を行うもので、写真にメモ書きして現場の状況を説明できる。

  • タクトの「ビデオ通話型情報共有システム」

    タクトの「ビデオ通話型情報共有システム」

NTT東日本 北海道エリア部門 第三グループ SMB営業担当 速水友樹氏

NTT東日本 北海道エリア部門 第三グループ SMB営業担当 速水友樹氏

今回、イベント開催に協力したNTT東日本の 北海道エリア部門 第三グループ SMB営業担当 速水友樹氏は、同イベントについて次のように語っていた。

「NTT東日本は、札幌商工会議所様や北海道内の商工団体と連携して、地域の中小企業の支援を行っています。人手不足は北海道も例外ではなく、求人を出しても応募が来ないという悩みが顕著で、求人をターゲットとなる求職者にどう届けるかが課題だと考えています。そのため、NTT東日本は、企業紹介や社長メッセージを動画にしてSNSで配信するサービスを提供しています。SNSの広告であれば、地域や年代を限定するといったターゲットを絞った広告配信ができます。今後もこうした体験会やセミナーを通じて、SNSを含めたDXや生成AIの活用をご支援していきます」