「スマートホーム」をご存じだろうか?
スマートホームとは、家電や住宅設備をインターネットでつなぎ、スマートフォンやスマートスピーカーなどから遠隔操作や自動制御ができる住宅や暮らしのことを指し、新しい暮らしのスタイルとして注目が集まっている。
今回はそんなスマートホームの最先端をいく「HAUS UPDATA」について紹介する。
日鉄興和不動産 住宅事業本部 再開発推進部 再開発推進第一グループ 兼フューチャースタイル総研室 チーフマネージャー 畑中信二氏、電通 データ・テクノロジーセンター グローバル開発部 GMの前川駿氏、同部 アナリスト 田中慧理奈氏に話を聞いた。
「HAUS UPDATA」って何?
HAUS UPDATAは、住宅メーカーやIoT関連事業者、日用品・消費財メーカーが参加し、生活行動データを基に、生活者の状況やライフスタイルに合わせた暮らしのアップデートを支援する共創型プラットフォームだ。
日鉄興和不動産と電通が、住宅メーカーや家電メーカー、また多種多様なセンシングサービス事業者との協力により、モニターとなる生活者の自宅に各種センサーやIoT家電を設置してスマートホーム化を進め、家電の利用状況・人の動き・日用品の使用状況・温度・湿度・照度などさまざまなデータを統合し分析することで、より良い暮らしを支援する取り組みとして、2024年に開始した。
さまざまなデータが管理ダッシュボード上で一元的に生活者個人に共有されるため、より良い生活を送るためのサポートや生活習慣・趣向に合った商品提案を受けることができ、同時に自身のデータを提供することの価値を実感しながら生活することができるという特徴を持っているという。
「HAUS UPDATAは、データの収集方法や利用目的について生活者さまへ丁寧にご説明し、適切な同意許諾をいただくのはもちろん、取り組みに共感をいただいた方にご参加いただいております。IoT・センサーを通じて得られるさまざまなデータを活用し、これまで正確な把握が難しかった『家の中』での生活習慣・趣向を多角的に捉え、これまでの狭義の“広告”とは違う形で、生活者個人のウェルビーイングや企業の効果的なマーケティング活動の両立を業界横断で目指しています」(前川氏)
電通では、HAUS UPDATAを「これまで捉えることが難しかった購買の先の『リアルな消費の仕方』をスマートホームデータで定点的に把握するリサーチ基盤」として位置付けている。住宅メーカーなど生活接点を持つ企業がモニターを募集し、電通がIoTメーカー・サービス事業者と連携し機器導入・データ連携を行い、リサーチ基盤化したものを企業向けに提供することをビジネススキームとして想定しているという。
一方の日鉄興和不動産は、「デベロッパーは『暮らし』をつくる企業にもかかわらず、『実際の暮らし』への解像度が低いのでは?」という疑問があったことが、このプロジェクトに取り組んでいる背景だという。
「多様な価値観、暮らし方が生まれていく中で、これからは家という『箱』を作って、さあどうぞ自由に使ってくださいでは限界があると感じていました。『顧客が求めるものの変化を理解できるか』『暮らしを一緒につくっていくパートナーになれるか』が今のデベロッパーに求められていることだと思います」(畑中氏)
AIで「HAUS UPDATA」の機能をアップデート
HAUS UPDATAの第1弾の実証実験は、2024年5月1日~10月31日までの期間で行われ、さまざまな生活行動データを活用することで、生活スタイルやその変化を捉えられるか、また、生活者一人ひとりの状況に合わせた価値のある情報提供が可能かについて検証された。
同実証事業には、電通と日鉄興和不動産をはじめ、メーカー、流通企業、IoT/センシングサービス事業者が参加し、住宅洗剤の使用量・頻度・使用タイミングを計測することで洗剤使用時の周辺データを基に使い方や、家電の利用状況を詳しく分析。得られた結果をもとに、時短につながる洗剤の使い方や、省エネに寄与する家電の使い方などを生活者へ提案したところ、好意的な反応を得ることができた。
そして、これらの結果を受けて、2025年6月から第2弾となる実証事業をスタートさせた。今回は、参画企業と生活者の規模を大幅に拡大し、生成AIを活用した生活サポート機能も導入して、サービス展開に向けた具体的な効果検証を行っているという。
今回の実証事業では、ダッシュボードの一機能として、生成AIによるサポート機能(食生活改善、睡眠指導、適切な温度・照度設定、日用品の購買レコメンド、ペットサービスなど)を新たに導入し、その有効性や生活者への影響を検証している。
生活者は自身に最適化された共創AI(チャットボット)との対話を通じて、暮らしに役立つ情報提供や、より良い暮らしのための提案を受けることができる。
「今回、独自開発した共創AIには、複数の役割を持つAIエージェントが組み込まれています。さまざまなデータを統合的に連携させる仕組みになっているため、モニターそれぞれの状況に寄り添いながら、共創AIが自ら語りかけ、行動をサポートすることで、より自然で継続的な体験を提供します」(田中氏)
また、第1弾の時には10世帯だったモニター世帯数を100世帯超へと拡大したことで、より正確で幅広い生活行動データの統合的な活用が実現し、各種の生活サポート機能の向上や参画企業のマーケティング強化につなげていくことが可能になったという。
最後に前川氏に今後の展望を聞いた。
「HAUS UPDATAは、生活者がデータを介して、多様なアセットやデータを持つ企業同士がつながっていくための仕組みです。この仕組みを活用し、健康、教育などさまざまな社会問題をテーマとし、1社ではなかなか実現できないサービスを企業間のアセットやデータ連携を通じて促進していきたいと考えています。生活者主体の、生活者のためのデータ活用を実現し、生活者が、自分のデータを運用・活用していくことが楽しくなる世界を作っていきたいと考えています」(前川氏)










