
12月からシステム復旧で 受注・出荷を再開
明日は我が身にならないために、今一度点検を─。
9月29日にサイバー攻撃によるシステム障害を受けたアサヒグループホールディングス(GHD)。社長の勝木敦志社長は、11月27日に攻撃後初めて会見を開き「システム障害で多くのお客様・関係先の皆様に多大なるご迷惑をお掛けしていることを心よりおわび申し上げます」と陳謝。システムは復旧し、12月から受注・出荷を再開したことを発表した。
アサヒGHDが2023年から25年までの3年間、DX(デジタルトランスフォーメーション)全体に投じてきた投資は約500億円。当然、そこにはサイバーセキュリティへの投資も含まれる。多大な投資を行い、対策をしていても被害に遭うときは遭うということを、日本企業全体に知らしめた事案であった。
同社の事件に次ぎ、通販大手のアスクルでも「ランサムウェア」攻撃で業務が停止し、1カ月間の売上が95%減にものぼったことが報道された。これと比較し、攻撃から2日で手作業による受注・出荷を再開したアサヒGHDの対応は迅速であった。
取引先の大口顧客でもある居酒屋・外食大手のコロワイド社長の野尻公平氏は11月中旬時点、「当社にはそこまで大きな影響はなく、通常通り『スーパードライ』はきちんと納めていただいている」とコメントし、取引先での大きな混乱は見られなかったように見える。その裏舞台では、アサヒの社員一人一人の対応力が存分に発揮されていたことを推測する。
「AIエージェントの訓練による『先制防御』という考え方が重要で、攻撃を受ける前に阻止する必要がある」とあるサイバーセキュリティの専門家は指摘。
また他の専門家も、「サイバー攻撃者たちはクリスマスや年末年始に浮き足立つ世間を、絶好の攻撃チャンスと捉えている。特にこれからの期間は気を引き締めるべき」と警鐘を鳴らす。
サイバー攻撃は災害である。被害を未然に防ぐ社内対策と体制構築、また万が一、被害を受けた場合の社内オペレーションを含めた準備を怠ることなく、緊張感を持って業務にあたることが引き続き求められる。