【金融国際派の独り言】長門正貢・元日本郵政社長「ランサムウェア攻撃 油断せず守りも盤石に!」

銀行本業の基本インフラであるシステムすら準備出来なかった。攻撃面での敗北ではなく守備面でのチョンボによる自滅だった。

 二つ目。ビール業界の歴史だ。サントリーが参戦する1963年までは3社による寡占状態だった。61年からは順位は固定し1位キリン、2位サッポロ、3位アサヒとなる。

 ところが87年、アサヒに大人気商品・スーパードライが登場する。その他、積極的なマーケティング戦略も奏功し、アサヒは89年にサッポロを抜き、98年には40%以上のシェアで常時1位だったキリンまで抜き去ってしまう。

 6000年前から人類が馴染んでいた商品で、差別化が難しいためシェア変動は起こり難いと思われていたが、ビジネス史に残る大変動が発生した。そのアサヒがサイバー攻撃を受けた。

 ランサムウェア攻撃は世界中で頻発、増加傾向だ。我が国では25年1~6月に116件の被害があった由だし、海外でも最近はジャガー・ランドローバーやMarks and Spencer等がランサムウェア攻撃を受け巨額損失に見舞われた。

 この新たなリスクに各社、様々、対策に腐心している。サプライヤー企業も含めシステム対応をより高度化したり、社員教育も徹底している。日本には未だないが、事件発生後の損失補填の為に保険を掛けている所も多い。

 十分対応策をめぐらし、ランサム攻撃を受けても防御に成功し被害を被っていないところもある由だ。

 今般の混乱だけでアサヒの位置は揺らがないだろうが、油断大敵、本業は好調なのに、システム障害から足をすくわれ劣勢が始まるみずほの例(アサヒとみずほでは①システムの意味②障害の理由が全く異なるが)もある。

 早くこの後遺症から脱し、攻撃・守備両面で盤石の態勢を整えて再スタートして頂きたい。より厳しい、国境を越えた国際競争の本番が、すぐにもやって来るでしょうから。