Windows Centralは12月15日(米国時間)、「Google's AI momentum leaves Microsoft behind|Windows Central」において、AI市場の風向きの変化について伝えた。

AI開発に注力するMicrosoftの株価がここ1カ月で約7%下落し、一方でGoogleの株価が約8%上昇。この背景としてAIを取り巻く複雑な課題を挙げ、Microsoftの置かれている厳しい現状を明らかにした。

  • Google's AI momentum leaves Microsoft behind|Windows Central

    Google's AI momentum leaves Microsoft behind|Windows Central

Microsoftが抱えるAI関連の課題とは

長期的な視点でみると、Microsoftの株価は100%以上の伸びを見せている。これは成功と評価すべきであり、これまでの経営陣の判断を否定することはできない。しかしながら、Windows Centralはここ1カ月の短期的な下落の理由がAI関連の直接的または間接的な問題によると分析。今後の同社経営に影響を与えるだろうと予測している。

Windows Centralが指摘する問題点を大別すると「OpenAIへの依存度の高さ」、「過大なコンピューティング需要」、「電力不足」となる。MicrosoftはOpenAIへの依存度を下げるため、独自のAIモデルとして「MAIシリーズ」を開発している(関連記事:「Microsoft初の画像生成モデル「MAI-Image-1」登場、Copilotに搭載予定 | TECH+(テックプラス)」)。

具体的には、基盤モデルとなる「MAI-1-preview」、音声生成モデルの「MAI-Voice-1」、画像生成モデルの「MAI-Image-1」を展開中だ。これら製品の一部はAI比較プラットフォーム「LMArena」で動作を確認することができる。同プラットフォームの総合評価を確認すると、本稿執筆時点において「MAI-1-preview」が63位に位置している。この順位は他社の1世代前の製品よりも低く、大きく遅れを取っている。

MicrosoftはCopilotにMAIシリーズを導入し、OpenAIへの依存度を下げる計画だったとみられる。しかしながら導入は進んでおらず、 OpenAIに依存した状態が続いている。

過大なコンピューティング需要はMicrosoftのみならず、幅広い企業に影響を与えている。AI関連のハードウェア需要が供給能力を超えており、関連企業のバックログとして積み上がっているとの指摘がある。

電力不足については、Microsoftの最高経営責任者(CEO: Chief Executive Officer)を務めるSatya Nadella氏が、最近のインタビューで認めたことが伝えられている。電力供給が整っておらずGPUが棚上げになっていると述べ、導入したハードウェアを満足に稼働できていない実態を明らかにした(関連記事:「Microsoft AIデータセンターの中核、第2拠点「Fairwater」を開設 | TECH+(テックプラス)」)。

強まるAIバブルに対する投資家の懸念

過大なコンピューティング需要と電力不足は、AIを取り巻くインフラの限界を露呈している。投資家たちはこの限界を察し、AIの発展および収益予想に懸念を抱いた可能性がある。

また、Microsoftが依存するOpenAIの評価の低下も問題視されている。これはGoogleの最新AIモデルGemini 3 Proの評価の高さ(LMArenaで首位)によるもので、危機感を覚えたOpenAIは収益向上からモデルの改善に方針を転換したと伝えられている(関連記事:「OpenAIがコードレッドを宣言? OpenAIとMicrosoftの優位性に変化 | TECH+(テックプラス)」)。

Microsoftは法律関連および金融サービスの分野でAIソリューションに強みがある。さらに、Microsoft Azureを導入している企業に対する同社製品への優位性がある。これらはエンタープライズ向けのWindowsを背景としており、同社はWindowsへの依存を強化せざるを得ない状況に追い込まれている。

Windows 11のAI OS化に懸念の声が伝えられる中において、同社の戦略に明るい兆しは見えてこない。長期的には成功を収めている同社だが、最近の下落傾向に対する同社の経営判断が今後の命運を分ける可能性がある。