NECは12月3日、玉川事業場(神奈川県川崎市)で、「NEC Innovation Day 2025」を開催。同イベントでは、研究開発と新規事業における戦略説明と、AIを含む最新技術・ソリューションの紹介が行われた。
前編となる今回は、同イベントのレポートとして、NEC 執行役 Corporate EVP 兼 CTOの西原基夫氏とAIテクノロジーサービス事業部門長 兼 AI Technology Officerの山田昭雄氏が行った「NECの成長を牽引する先端技術開発と新規事業領域の拡大」についての講演内容をお届けする。
NECの強みは「AI」「Security」「プラットフォーム技術」
最初に登壇した西原氏は、NECの強みの技術として、「AI」「Security」「プラットフォーム技術」という3点を挙げた。まず「AI」に関しては、NEC開発のAIコア技術である「cotomi」を含む先進技術で、AIによる産業変革をリードしているという。
「『Security』においては、国家安全保障レベルのセキュリティ技術と高度専門人材が日本のデジタルインフラを守っている点に強みがあります」(西原氏)
また「プラットフォーム技術」においては、AIなどの多様なアプリケーションを高効率かつ高速に処理するインテリジェントプラットフォーム、および信頼性を高めるセキュアネットワークを実現し、社会課題を解決しているという強みを持つ。
西原氏は「NECの強みの根幹には、グローバルでの高い技術競争力がある」とした上で、NECの持つ技術力と実績について触れた。
AIにおいては「NECの生体認証技術がNISTのベンチマークで世界1位」「機械学習難関国際学会 論文採択数が世界企業数で10位」「生体認証、映像認識、分析・対処AI分野 累積国際特許出願で1位」という技術力を誇るNEC。
セキュリティにおいても「セキュリティサービス利用率1位」「サイバーセキュリティ対策で評判が良い 1位」「国際資格CISSP(Certified Information Systems Security Professional)取得者560人以上(2025年3月時点)」という実績を持つ。
さらにプラットフォーム技術においても、「海底ケーブル敷設実績(60年間合計) 40万キロメートル(地球10周分)」「48年連続 光通信 難関学会 論文採択」といった実績を持っている。
NECでは、これらの強みを「BluStellar」のブランドの下で展開しており、最先端技術を社内外で先行的に実装し、成功要因を抽出・分析・型化。実績に裏付けした形でDX(デジタルトランスフォーメーション)をスピーディーに実現しているという。
未来へ向けて3つの成長事業を創出
今後、NECは「未来へ向けた新たな成長事業の創出」として、「知財ライセンス事業」「AI創薬事業」「NEC 先端技術コンサルティングサービス」に取り組んでいくという。
「知財ライセンス事業」への取り組み
今回「技術ライセンス」を強化し、2030年度にはライセンス収益2倍を目指すことが明らかにされた。
「NECの知財事業の計画として、特許および技術ライセンス収益の合計を2倍に増加させることを目指します。特に技術ライセンスに関しては、事業化を行います」(西原氏)
同社は今後、特許、設計図、ソース、ノウハウなどの「知財」を技術ライセンス化。パートナーへ技術ライセンスを提供する事業を進めていくという。
「AI創薬事業」への取り組み
「AI創薬事業」については、個別化がんワクチン(頭頸部がん向け個別化ネオアンチゲンワクチン)は、治験で着実な成果を出していることを紹介。さらに、より汎用性のある共通がんワクチン開発を進めていくことを表明した。
個別化ワクチンについては、治験によって、長期追跡による有望なエビデンスの更なる蓄積を実現。無再発状態が24カ月から30カ月(中央値)へ延長し、同ワクチンの作用機序について科学的根拠を示唆したという。
共通がんワクチンについては、日本医療研究開発機構の枠組みの中で、がん研究会・NEC・大鵬薬品の三者共同研究契約を締結。複数のがん患者に共通するがん特異的抗原(ネオアンチゲン)を同定し標的とする、共通ネオアンチゲンがん治療ワクチンの研究開発に取り組んでいる。
この共同研究には、三者が保有する独自の研究情報、AI創薬技術、実験材料を活用していくという。
NECは、この中で独自のAI技術を提供。この技術を活用し、共通ネオアンチゲンの予測とがん治療ワクチンを配列設計する。
これらを大鵬薬品独自の実験モデルでこれらの免疫学的評価を行い、実験データをもって確度の高いがん抗原を絞り込み治験可能な開発候補品を見出していく。
「NEC 先端技術コンサルティングサービス」への取り組み
「NEC 先端技術コンサルティングサービス」は、2024年11月から提供開始されているサービス。上流である研究開発からNECの専門家が最先端のAI技術や高度な知見を駆使し、顧客とさまざまな難課題を解決することを目的としている。NEC研究者とさまざまな対象技術領域からの豊富な経験やノウハウを生かすことで、顧客の高度な技術活用とDXを支援をする。
具体的には、課題の真因分析・注力する投資領域発見のための動向調査や技術戦略策定、課題解決のための技術導入支援のほか、将来の技術・知財の創出支援など、顧客に伴走したサービスによる幅広い支援が可能となっている。
2025年11月には、第1号となる大型案件として住友ゴムとの取り組みを発表した。具体的には、研究開発基盤の高度化に向けた先行的な取り組みとして、「疑似量子アニーリング技術を用いたタイヤ材料の配合予測」「AIエージェントと材料探索ソリューションを用いた新材料の探索」が行われたという。
今後、両社は戦略的パートナーシップに基づき、2件の先行実証や他の技術も含めて活動を発展させていく。
2030年までにAIで高度化された研究開発スタイルを構築するとともに、社会課題の解決につながる新たな事業やイノベーション創出も目指すという。





