Anthropicは12月8日(米国時間)、同社のAIプログラミングエージェント「Claude Code」に、チームコラボレーションツール「Slack」から直接タスクを委任できるベータ機能をリサーチプレビューとして提供開始した。

この機能は、既存の「Claude app for Slack」を拡張したものである。従来の連携は、SlackのDMを通じてClaudeとチャットしたり、スレッドでAIアシスタントパネルからWeb検索やドキュメント分析を依頼したりする対話が中心であった。今回の拡張で、ClaudeがWeb上のClaude Codeへタスクをリレーできるようになった。

Slackのチャンネルやスレッドで @Claude をメンションすると、Claudeがメッセージ内容を解析し、それがコーディングタスクであるかどうかを自動判定する。コーディングタスクと判断されれば、Claude Code上で新しいセッションが作成されて、関連するSlackメッセージがコンテキストとして渡される。ユーザーは明示的にコーディングタスクであることを指示することも可能である。

Claude Codeのセッションが進むと、その進捗は元のSlackスレッドにステータス更新として投稿される。タスク完了後には、変更内容を確認するためのセッションへのリンクと、プルリクエストを開くための直接リンクが共有される。これにより、開発者はIDE(統合開発環境)やブラウザーのタブを行き来することなく、チャット上でタスクの指示と確認をシームレスに行える。

なぜSlack連携なのか

従来のAIコードアシスタントは、Visual Studio CodeなどのIDEの拡張機能として利用する形が一般的であった。今回のClaude CodeのSlack連携は、その重心を「コードを書く場所」から「会話が行われる場所」に移す試みといえる。

ソフトウェア開発の現場では、バグ報告や機能追加の相談、設計レビューなど、多くのやり取りがSlack上で行われており、問題がSlackで共有されてからIDEに移る。Claude CodeとSlackの連携は、「エンジニアリング作業に必要な重要な文脈」がSlack内に蓄積されている開発の現状に対応したものである。

具体的な活用シーンとして、Anthropicは以下の例を挙げている:

  • バグの調査と修正:報告があった段階で直ちにClaudeに調査・修正を依頼する。
  • 迅速なコードレビューと修正:チームのフィードバックに基づき、小規模な機能実装やコードのリファクタリングをClaudeに委任する。
  • 共同デバッグ:チームディスカッションでエラー再現方法やユーザーレポートといった重要なコンテキストが提供された際、Claudeはそれらの情報を活用してデバッグ方針を導き出す。

また、これはエンジニア以外の業務にも影響し得る。たとえば、プロダクトマネージャーやカスタマーサポート担当者がSlackで状況を説明しながら @Claude を付けることで、調査タスクが生成され、修正案作成まで進む可能性がある。

一方で、Slackとコードリポジトリの双方にAIがアクセスするため、アクセス経路の増加に伴うセキュリティ管理や監査の負荷が高まる懸念がある。また、AI依存の増大によって開発者のスキル低下や人間同士の協働機会が減少する可能性も指摘されている。Anthropicは今回のSlack連携をリサーチプレビューと位置づけ、ユーザーからのフィードバックを踏まえて改善を進めるとしている。