FREEDiVE(フリーダイブ)代表取締役・今井渉平が語る「国境を越えて誰もが自由にネットとつながる世界を」

インバウンドが花盛りです。コロナ禍では外国人の姿を見ませんでしたが、今は1日に1回は必ず目にするようになりました。インバウンドに注目が集まる一方、日本人の海外旅行(アウトバンド)も徐々に回復の兆しが出てきています。

 法務省の統計によれば、2024年の日本人出国者数は約1301万人と、前年比約338万人の増加。しかし、海外旅行における通信環境はまだまだ未整備なのです。例えば海外旅行では手元のスマートフォンで現地のインターネットを使うためには「SIMカード」というチップを入れ替えねばなりません。

 わざわざ旅行先の空港や街の店舗でSIMカードを購入し、日本で使っていたSIMカードを取り出し、新しいSIMカードを入れ直さないといけないのです。SIMカードは小さな部品ですから、紛失しやすいですし、スマホの設定もし直すという煩わしさがあります。

 せっかく海外旅行を満喫しようとしている家族や貴重な商談に臨もうとしているビジネスマンなどにとっては大きなハードルとなっています。

 皆さんは「eSIM(イーシム)」をご存知でしょうか。これはスマホの中にあらかじめ組み込まれている目に見えないタイプのSIMカードで、これまでのように物理的なチップを取り出したり、差し替えたりする必要がありません。専用のアプリやウェブサイトでeSIMを申し込むと、スマホの中にその情報が自動で書き込まれ、すぐに現地でネットを使えるのです。

 当社はこのeSIMサービスを活用したサービス「スカイイーシム」で海外旅行者が短期旅行でも長期滞在でも簡単に使えるサービスを提供しています。日本語での購入・サポート対応も整え、世界100カ国以上で使えるeSIMを取り扱っています。SNSサービス「LINE」で申し込みが可能なため、気軽に使えるサービスです。

 日本円で決済できる上に、トラブル時の問い合わせも日本語で対応できます。しかも、用途や滞在期間に合わせて柔軟にプランを選ぶこともできます。海外でも日本と同じようにスマホが使える時代になったのです。

 2016年に設立した頃の当社の主力事業は民泊やWi︱Fiレンタルでした。その後、事業の多角化を進めてきたのですが、新たな事業を始めるときの指針は「自分たちの技術で社会課題を解決し、世の中を活性化できるかどうか」でした。

 eSIM事業も、もともと当社がWi︱Fiやルーターといった通信機器の商品設計が得意だったことが開始のきっかけでした。さらに言えば、私自身が「マーケティングとは、人の困りごとを解決する手段である」という感覚を持っていたこと。

 大学に入学した当初はミュージシャンになるという夢を抱いていたのですが、時代と共に音楽業界の構造が大きく変わっていく現実を目の当たりにし、自分の将来を改めて考え直しました。そんなときに大学の友人から「起業」という選択肢を初めて教えられたことが、人生の大きな転機となったのです。

 大学在学中にWebマーケティングを独学で学んで起業も経験。その後、広告・マーケティング企業で経営を勉強しながらがむしゃらに働きました。その際、お客様の課題を徹底的に分析する中でマーケティングの醍醐味を実感できたのです。

 eSIMはアイフォーン17の標準仕様になりました。誰もが国境を越えて自由に羽ばたく生活を送る─。当社の社名のような世界が広がっていくのではないかと期待しています。

2025年度『経営者のための10冊』企業アドバイザー(元JBCCホールディングス会長)・石黒和義