XDAは11月23日(カナダ時間)、「The unpowered SSDs in your drawer are slowly losing your data」において、長期保管中のSSD(Solid State Drive)について注意を呼びかけた。

SSDはデータを保持できる期間に物理的な限界があり、電源を切ったままでいるとデータを消失する恐れがあるという。

  • The unpowered SSDs in your drawer are slowly losing your data

    The unpowered SSDs in your drawer are slowly losing your data

限りあるSSDのデータ保持期間

SSDは記憶素子にフラッシュメモリーを採用した補助記憶装置だ。高速動作に特徴があり、近年の大容量化に伴って幅広いコンピュータに採用が広がっている。

記憶素子のフラッシュメモリは不揮発性半導体メモリとも呼ばれ、USBメモリやSDメモリカードにも採用されている。このメモリ自体には通信機能や高度な制御機能はなく、専用のコントローラを介してコンピュータと接続している。

フラッシュメモリの基本的な仕組みは単純で、極小の充電池を並べたような構造になっている。この特殊な充電池(半導体素子)をセルと呼び、各セルの電圧を制御することでデータの読み書きを行う。一般的な充電池は放置すると徐々に電圧が下がっていくが、セルにも同様の問題があり電圧を維持できる時間には限りがある。

つまり、定期的にセルの電圧を補正しないと、いずれ情報が失われることになる。これがSSDのデータ保持期間となる。実際の保持期間はセルの構造によって差があり、XDAの調査によると、SLCが約10年、MLCが約5年、TLCが約3年、QLCが約1年だという。この期間は温度などの外部要因を無視した標準的な製品の平均値とみられ、実際には相当程度のばらつきがあると予想される。

データ保持期間は徐々に短くなる

SSDのデータ保持期間は、セルへの書き込み回数が増加するたびに減少していくことがわかっている。これは電荷を保持する酸化膜が徐々に壊れ、電荷が抜けやすくなるために起きる。

一般的な製品にはこの影響を低減する「ウェアレベリング」と呼ばれる機能がコントローラに搭載されており、前述の保持期間を維持する努力が行われている。しかしながら、使えば使うほど保持期間は短くなる可能性がある。

HDDバックアップが現実的な保護手段

電源を切ったままでいるとデータを消失する可能性があることは前述のとおりだが、電源を入れていれば安全なわけではない。XDAは電源を入れておけばデータは失われないとの論調だが、実際はセルの電圧を補正しなければデータはいずれ消失する。確実にデータを保持し続けるには、定期的にドライブ全体の読み書きが必要になる。

しかしながら、コントローラがアクセスを高度に制御していることもあり、ユーザーが手動で解決することは簡単ではない。書き込みは寿命を短くし、同一アドレスへの繰り返しアクセスは「リードディスターブ」などの問題がある。

では、どうしたらよいのだろうか。1つは産業用SSD製品の採用だ。産業用SSD製品にはオートリフレッシュなどの複数のデータ保持機能が組み込まれており、電源を接続しておくだけで自動的に最適なデータ保持を実施してくれる。高価だが検討に値する選択肢だ。

他にはバックアップを定期的に取ることが推奨される。一般ユーザー向けとしては、こちらが現実的な答えになる。SSDは前述のとおりバックアップには使用できないため、ハードディスクドライブ(HDD: Hard Disk Drive)をバックアップドライブとして使用する。

SSDは一定期間でデータが失われる前提で利用し、定期的な交換と、万が一に備えたバックアップが最適な運用方法と言えるだろう。これを機会に、机の引き出しに入れたままのSSDやUSBメモリーが存在しないか確認し、大切なデータをバックアップすることが望まれる。