
ふるさと納税制度で多額の寄付を集めたことを理由に特別交付税を大幅に減額したのは違法だとして、大阪府泉佐野市が国に減額決定の取り消しを求めた訴訟の差し戻し控訴審判決が10月9日、大阪高裁であった。牧賢二裁判長は減額決定を違法とした一審判決を支持し、国の控訴を棄却した。
特別交付税は災害などで特別の財政需要が生じた自治体に国が配る。泉佐野市の千代松大耕(ひろやす)市長は判決を受け「交付税行政を正す意義があった」とコメント。国は不服として、最高裁に上告受理を申し立てた。
泉佐野市は2018年度、ふるさと納税で全国最多の約498億円を集めた。寄付への返礼品にインターネット通販大手「アマゾン」のギフト券を上乗せするキャンペーンを実施していた。
これに対し、総務省は19年12月、特別交付税の算定に寄付金収入を考慮するとした省令改正を実施。泉佐野市の19年度の特別交付税の配分額を前年度比4億4千万円減の約5300万円に減額した。市は20年6月に「減額はみせしめ、懲罰の意図が働いている」と、減額決定取消を求めて提訴した。
今回の差し戻し控訴審判決は、特別交付税の算定根拠となる自治体の標準的な収入額には、寄付金は含まれないと判断。寄付金収入を減額要因にするには政治的、政策的観点からの判断が必要だとして、省令で特別交付税を減額することは「法律の委任範囲を超えており違法だ」とした。
返礼品競争が過熱する中、総務省は19年から、ふるさと納税を「返礼品は寄付額の3割以下の地場産品」などの基準を守る自治体のみ参加を認める新制度に移行。泉佐野市は制度から除外されたが、市が除外決定取消を求めた訴訟で、最高裁は20年、除外決定を取り消した。