OpenAIが米国のDonald Trump(ドナルド・トランプ)政権に対し、AIデータセンター建設への税制優遇措置の拡大を求めていることが明らかになった。

税制優遇拡大の背景とは

OpenAI Chief Global Affairs OfficerのChris Lehane(クリス・レへイン)氏は、10月27日付で大統領府で科学技術政策局長を務めるMichael Kratsios氏宛ての書簡で、前政権下で制定されたCHIPS法に含まれる先端製造投資税額控除(AMIC)の適用範囲拡大を要請した。

  • 10月下旬に来日し、講演を行うOpenAI Chief Global Affairs OfficerのChris Lehane(クリス・レへイン)氏

    10月下旬に来日し、講演を行うOpenAI Chief Global Affairs OfficerのChris Lehane(クリス・レへイン)氏

AMICは現在、半導体製造施設に35%の税額控除を提供するが、OpenAIはこれを電力網コンポーネント、AIサーバ、AIデータセンターにも適用拡大することを求めている。

書簡でレへイン氏は「AMICの適用範囲を広げることで、実質的な資本コストが下がり、初期投資のリスクが軽減され、米国におけるAI構築が加速する」と主張している。プロジェクトの許認可プロセスの迅速化や、銅、アルミニウム、加工済みレアアース鉱物など、AIインフラ建設に必要な原材料の戦略的備蓄の創設も要請している。

レへイン氏は「AIインフラへの最初の1兆ドルの投資だけで、3年でGDP成長率が5%以上増加する可能性がある」とOpenAI内部の調査を引用している。書簡では、OpenAIは「Stargate」の下で、テキサス州、ニューメキシコ州、オハイオ州、ウィスコンシン州で6カ所のサイトの建設を進めており、今後5年間で電気技師などの技能職の約20%の需要が生まれるとしている。

また、中国は2030年までにAIで世界をリードする目標を掲げており、エネルギー生産能力を産業競争力の基盤と位置づけていること、2024年には429GWの新規発電容量を追加したが、これは米国の全送電網の3分の1以上であることなども主張している。

この書簡は10月27日に公開されていたが、11月8日付けのTechCrunchによると、先にOpenAIのCFOがイベントで「政府がインフラ融資を保証すべき」と発言した(その後「言い間違えた」と訂正)ことなどで注目を集めたという。CEOのSam Altman(サム・アルトマン)氏も「データセンターに対する政府保証を求めていない」と述べているという。