乃村工藝社取締役・原山麻子「『大阪・関西万博』で得た経験を社会に還元していく」

私たち乃村工藝社グループは、「大阪・関西万博」で25以上のパビリオン・出展ブースを含む総計50以上のプロジェクトに携わらせていただきました。

 ご来場された皆様の反応などを拝見していると、私たちが事業者様とともに提供した体験づくりが、世の中の方々に伝わったのだと実感でき、大変喜ばしく思っています。当社は「空間創造によって人々に『歓びと感動』を届ける」をミッションとして掲げていますが、今回の万博では、それを体現できたのではないかと思っています。

 今回の万博に向けては、2019年に万博準備室を立ち上げるところから始まりました。もちろん、当社は1970年の「大阪万博」を始め、様々な博覧会に携わってきましたから、その経験を基に、様々なステークホルダーの方々と情報交換を進めてきたのです。

 お客様である事業者の方々にとっても、誰も見たことのない新しい技術、未来の思想を発信するわけですから試行錯誤の連続です。それを私たちもお客様と話し合いながら、コンセプトづくりから進めていきました。そして、それを現実に形にしていくのには、かなりの時間を要しました。

 私たちは、お客様からいただいたものを形にするというよりは、何を、どう形にしていくのかを一緒に考えるということを常に意識しています。話し合いをする中で、お客様ご自身が気づいていない自らの価値を発見するような機会もありました。様々な企業の未来思考に触れることができ、私たちにとっても貴重な経験になりました。

 この経験をどう生かしていくかが問われます。振り返れば、1970年の万博当時は、映像、音楽、機械が連動して動く演出は、非常に画期的なものでした。

 この時は万博の4年ほど前から、ロボット工学の研究者から技術を学び、日本館での展示につなげました。その後、様々な商業施設で、同様の演出が流行したのですが、画期的な技術が、日常の技術として転用された1つの事例です。今回の万博でもそうした事例が多く出てくるものと思います。

 私たち自身も、かつての万博、今回の万博ともに、お客様のチャレンジに伴走したことで業務プロセスや技術を向上させることができてきたと考えています。学ばせていただいたことは空間づくり、都市開発などに生きてきましたし、これからも生きてくると思います。

 近年は、お客様と共に、訪れた方々に「体験」を提供する商業施設やスポーツ施設を手掛けています。「空間」にこだわって事業展開をしてきた私たちとしても、その体験づくりに貢献させていただけているのではないかという自負があります。

 私たちは、お客様の事業を支える「黒子」的存在ではあります。一方で、私たちが提供できる技術や「人」を知っていただかないと価値をお届けできないのではないかとも考えています。お陰様で、お客様のリピート率は9割近くですから、今は、様々な形で私たちの取り組みを知っていただく機会をつくるようにしているのです。

 もう1つ、女性活躍の重要性が言われて久しいわけですが、当社の女性比率は3割ほどです。最近は活躍の場も広がり、女性の志望者が増えてきています。女性は男性に比べてライフステージが変わりやすいわけですが、そのタイミングでキャリアを継続できるような業務プロセス構築への貢献は、取締役である私の1つの役割だと考えています。