テラスカイは11月7日、都内で年次カンファレンス「TerraSkyDay 2025」を開催した。同社 代表取締役 CEO 社長執行役員の佐藤秀哉氏による基調講演を紹介する。
AIと量子コンピュータに注力するテラスカイ
今回のカンファレンスのサブタイトルは「さぁ、AI・量子のフロンティアへ」だ。冒頭、佐藤氏は「AIの進化はものすごく速く、3カ月経過するとその前の技術は古くなってしまうほどのスピードで進化している。当社ではChatGPTやGoogleのGemini、SalesforceのAgentforceを活用して製品を開発し、リリースしている。一方、量子コンピュータも予測よりも速く成長しており、当社は量子アルゴリズムに注力している」と述べた。
同社は今年で20期目、株式上場から10年目という節目を迎えており、2026年2月期の連結売上高の目標は前期比19.1%増の294億3800万円を計画し、300億円への到達が見えてきている。加えて、8月には鹿児島と盛岡にサテライトオフィスを設置。
国内屈指のSalesforceのインテグレーターでもある同社は、昨年4月にアクセンチュアを抜いて、日本で1番多くのSalesforce資格を保有している企業となっている。また、Salesforceに限らず、AWS(Amazon Web Services)、Microsoft Azure、Google Cloud、量子コンピュータと幅広くカバーしているのも同社の特徴だ。
そして、佐藤氏は今年のこれまでの取り組みを振り返った。4月には昨年に資本業務提携したNTTデータと「NTT DATA Salesforce Hub」を共同で設立。これは、質の高いコンサルタント・エンジニアを集約したリソースプールを構築し、流動性高く最適な人員配置を実施してSalesforce活用を通じて企業のビジネス変革をリードするというもの。各社横断での人材育成を通じて、2028年までに5000人規模の国内トップクラスの体制を確立するという。
さらに9月には、みずほ銀行と7月に締結したビジネスマッチング契約にもとづき、テラスカイで専門組織を立ち上げ、全国のみずほ銀行の顧客に対してSalesforceの販売・導入支援を本格的に開始することを発表。佐藤氏は「みずほ銀行さんがSalesforceを販売した150社ほどの企業を引き継ぎ、当社がメンテナンスや販売などを行っていく。みずほ銀行さんとともに、特に地方の企業に対してDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する役割を担っていく」と力を込めていた。
MCP対応のAIエージェント「mitoco Buddy」
ここまで、システムインテグレーターとしての同社における直近1年間の取り組みを紹介してきたが、製品開発にも注力しており、カンファレンス当日に新たな製品の発表がアナウンスされた。
製品については、テラスカイ 取締役 専務執行役員 製品事業ユニット長 兼 企画開発統括本部長の山田誠氏が説明に立った。同氏は「昨今、AIではMCP(Model Context Protocol)とA2A(Agent to Agent)がキーワードになっているが、当社はMCPにいち早く取り組んでいる」と話す。
その成果として、すでにMCPサーバに対応し、提供しているAI製品「mitoco AI」と「mitoco Bot」を挙げている。
mitoco AIはSalesforceのプラットフォーム上で「Azure OpenAI」のエンジンを使い、音声テキスト変換で話した内容とデータを取得するためのSOQL(Salesforce Object Query Language)を発行し、mitoco AIはSOQLを実行してSalesforceのオブジェクトからデータを取得することで、適切な回答をユーザーに返す。mitoco BotはFAQに特化し、瞬時に正確な回答を行う会話型AIプラットフォームとなっている。
山田氏は「RAG(検索拡張生成)は90%程度の正解率ではあるが、10%は間違えるときがある。間違いが許されない業務において、mitoco BotはユーザーがAIの支援を受けながらFAQの作成を行い、最終的にはユーザー側で回答を確認してもらうソリューションのため間違いが起きない。これがMCPサーバに対応したことで、mitoco Botへの最初の問合せで100%の回答を出し、仮に分からない場合はRAGにつなぐことで問合せの効率、つまり正解率を向上させることができる」と説く。
そして、今回発表された目玉となるサービスが「mitoco Buddy」だ。同サービスはQueryPie AIが提供する企業向けAIプラットフォーム「QueryPie AI Platform」をベースに、MCP対応のAIエージェント。
企業内に乱立するクラウドサービスをMCPで統合し、情報連携とデータ活用を促進することで、意思決定の加速化と業務自動化を支援するというものだ。既存の業務環境を活かしてスムーズな連携、接続を実現し提供外のサービスともカスタム設定で連携できる。
また、リストやグラフの作成などSalesforceとの連携でデータ活用のハードルを下げ、業務効率と意思決定の精度を同時に最大化できるほか、プロンプトを自由に設定して目的に合わせて設計し、繰り返しの作業はスケジュールで実行を可能としている。
山田氏は「SalesforceやSlack、Gmail、Microsoft 365などの幅広いクラウドサービスとのMCPによる連携を提供し、生成AIに聞くだけですべての業務システムとつながる。すでに50種類以上のコネクタを用意しており、生成AIに問いかけるだけで社内システムにすべてつながる」と強調した。
12月には「mitoco 会計 AI-CFOオプション」をリリース
さらには、財務・管理会計(GL)、債務管理(AP)、債権管理(AR)、固定資産・リース資産管理(FA・LM)、電債管理(ER)、電子帳簿保存法対応オプション(EB)などで構成するクラウド会計システム「mitoco 会計」にGeminiを搭載した。
その第1弾として、「mitoco 会計 AI-CFOオプション」を12月22日にリリースすることが発表された。
山田氏は「経営のダッシュボード、提言などを行う。競合他社と決算の数値を比較した際に、例えば販管費や広告宣伝費、在庫の回転率などを把握して経営判断を下せるものとなる」と説明した。
具体的には、迅速な分析と戦略的な提言を通じて企業の会計情報の活用効果を最大化する仮想的なCFO(最高財務責任者)の役割を担い、経営ダッシュボード、経営提言に加え、競合分析比較、経営状況・分析結果を音声で解説して全社に理解浸透するポッドキャスト、多言語対応などを特徴としている。
同氏は「今後、第2弾、第3弾と予定している。SalesforceのデータとGoogleの相性の良さに気づき、こうしたサービスを提供するに至っている」と述べていた。





