
バブルがはじける可能性があるのではないか?
─ AI(人工知能)が人の生き方・働き方に大きく影響を与える時代になりました。栗原さんは、AIの現状をどのように捉えていますか。
栗原 2022年11月に生成AI『chat GPT』が登場してから、AIブームが過熱していることは間違いありません。そして、今は中国を中心として、各国でヒューマノイド型(ヒト型)ロボットの研究も進んでいて、企業ではAIを使いこなさなければダメだ、他社に負けてしまうということで、社内で教育をするとか、意識改革をやっていますよね。
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しかし、これで何が変わったかというと、わたしは効率化だけではないかと思います。これは過去にインターネットが出てきてから同じ変遷をたどっていると思うのですが、技術の発展に伴い、ワープロからパソコンに変わり、クラウドサービスなどのIT技術がどんどん普及してきました。
基本的には海外から入ってくるIT技術がほとんどで、新しい技術が出てくる度に、日本企業はパソコンを使わなければダメだ、クラウドにしないと置いていかれるといって対応してきましたよね。それが現在、AIに変わったというだけで、海外から新しい技術が入ってきて、慌てふためく日本人という図式は結局、ずっと変わっていないというのが感想です。
─ つまり、ずっと外来技術を取り入れてきている。
栗原 取り入れているというか、自分たちではつくれない技術を使って、ただただ騒いできた。しかも、全てはスマート化などと言って、いかに業務を円滑化し、効率化できるかということに終始してきた。そう考えたら様々なIT技術が出てきていますが、実は情報技術に限って言えば、業務のスリム化しかできていなくて、大きなイノベーションなど何一つ起こっていないのではないかと思うのです。
それでも、AIの開発には莫大なお金がかかっていて、あたかもバブルの様相を呈している。ということは、バブルがはじける可能性があるのではないかということです。
─ AIブームというよりもAIバブルだと。
栗原 ええ。これは世界的に見てもそうで、どこもまだ効率化の用途でしかAIは使われていなくて、新たな価値を生み出す方向では使われていません。
効率化というのは、イメージしやすいし、誰もが食いつきやすいんですよ。議事録をとるのも人間がやるより生成AIがやってくれれば楽ですし、何%業務がスリム化できたといえば、誰にとっても悪いことではありません。特に企業にとって、効率化は美徳ですらある。
しかし、企業は本来、効率化を目指す組織ではありません。イノベーションによって、新たな商品やサービスを生み出し、お客さんに喜んでもらって、社会に貢献することが目的です。そうであるなら、本来問われるべきはAIを使って効率化した先にどんなイノベーションを起こすことができるか。バブルがはじけないためには、早いところ、AIを本来の使い方であるイノベーションに活用していかなければならないのです。
─ では、どうやってイノベーションを起こしていくかという話になりますよね。