【厚生労働省】労働時間規制の緩和検討へ 「働き方改革」の規制緩和か

自民党が大敗した夏の参院選から3カ月を経て、ようやく自民、日本維新の会が連立政権樹立で合意し、高市早苗首相が誕生した。首相が上野賢一郎厚生労働相に渡した指示書には、医療保険制度などと共に「労働時間規制の緩和の検討」という文言も盛り込まれた。

 厚労行政は医療や年金に注目が集まりがちなため、「働き方改革」への具体的な見直し指示は省内で「かなり踏み込んだ内容で、正直意外だった」(官房幹部)と受け止められている。

 上野厚労相は就任時の記者会見で指示書について、「誰もが働きやすい労働環境を実現する必要性や、上限が過労死認定ラインであることを踏まえて検討する必要がある。今後、審議会での議論を深めたい」と語った。

     

      上野 賢一郎・厚労相

 19年に施行された働き方改革関連法は、残業上限を原則として月45時間、年360時間で、最大でも月100時間未満、年720時間と定めている。繁忙期など特別の事情がある時も、1カ月の残業は100時間未満、複数月の平均で80時間以内に制限されている。しかし、「人手不足が深刻化して業績が悪化した」との不満が経済界から上がった。

 現在、同法は施行5年後の見直し規定に沿って、厚労省内の労働政策審議会で見直しの方向性の議論が進められている。

 労働時間規制の緩和には異論もある。労働者側が規制強化を求めているほか、20~23年に新型コロナウイルス禍の影響を受けたことなどを理由に見直しを延期すべきだと主張する委員もいる。

 首相の労働時間規制の緩和に関する指示は心身の健康維持と従業員の選択を前提にしたものだが、働き方改革の全体的な後退につながる可能性もある。過去には過酷な残業による過労死が相次いでおり、省内外で波紋を呼びそうだ。

 上野厚労相はこうした懸念を念頭に「労働時間規制にさまざまな声があることは承知している」と述べ、緩和の是非を慎重に議論する意向だ。

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