あるやうむ代表取締役・畠中博晶が語る「NFTで余市のウイスキーが人気 地域間の垣根を下げたい! 」

19歳まで東京都内で育ちましたが、埋もれていく自分に無力感を感じると共に、北海道に魅力を感じていた私は高校卒業後は北海道大学への進学を希望していました。しかし、周囲の反対にあって断念。京都大学に進学しましたが、在学中に仮想通貨と出会い、卒業した2020年3月からは札幌に移住して11月に当社を起業しました。

 地方での生活は5年を過ぎましたが、そこで感じるのは、やはり地方にはデジタルの世界では決して体感できない魅力が詰まっているということです。しかし、課題は山積みです。中でも最も大きな要因は都市部と地方との間での〝摩擦係数〟が高いということ。これは社会インフラの整備といったハード面もそうですが、人々の心理といったソフト面でも同様です。

 この摩擦係数をいかに下げるか。私が閃いたのが学生時代に開業資金を稼げた仮想通貨です。この仮想通貨に活用されているNFT(非代替性トークン)を活用することで、地方創生を実現できると考えたのです。NFTはデジタルデータを使って本物と偽物を区別する技術。大きなコストをかけることなく、地方の特産品などに価値を与えることが可能になります。

 例えば、ふるさと納税への活用です。24年、ジャパニーズウイスキーの発祥の地である北海道余市町に、90年ぶりに新たな蒸留所が誕生。これを機に、限定3樽のウイスキーの所有権を返礼品として交換可能なNFTを提供すると、2時間で予約が数十人に達しました。

 今すぐ手に取ることはできません。ウイスキーは3~12年ほど熟成させるからです。それでも同町のウイスキーに価値を見出す全国の納税者が手を伸ばしたのです。これは事業者にとってもメリットが大きい。本来であれば長い間、ウイスキーの完成を待たねば現金収入を得られませんでしたが、NFTを引換券として販売した時点で売り上げを見込むことができます。

 さらにNFTを使えば地域の関係人口を増やすことにも貢献できます。それが「地域おこし協力隊 DAO」です。DAOとは「分散型自律組織」と呼ばれるブロックチェーン上で世界中の人々が協働して管理・運営される組織を指します。地域おこし協力隊は今までもありますが、その場合、地域に1人だけ人口が増え、従事するのも一次産業ばかりです。しかし、NFTを絡ませれば、もっと広がりをつくることができます。

 DAOはデジタルコミュニティを運営する人材を自治体に紹介します。新潟県長岡市の旧山古志村は人口800人、高齢化率55%以上の小さな村ですが、世界中から人気を集める地域の特産品「錦鯉」をNFTアートに載せ、世界で初めてデジタル住民票をNFTで発行しました。

 結果、同村の人口を上回る約1050人のNFT保有者が誕生。この取り組みの肝は情熱を持ったリーダーがいたことです。04年の新潟県中越地震をきっかけに始まった住民会議で同村に魅力を感じたリーダーが旗を振って、後に山古志村のDAOの発起人になったのです。地域おこし協力隊 DAOは既に14自治体が導入済みで、今年度も増えていく見込みです。

 どんな地方にも必ず魅力はあります。これにデジタル技術や外部の人材を絡ませることによって地方の資源の価値を最大化できるのです。それが光れば地方はもっと栄えるはずです。

 地域の経済活動の底上げをすることが日本再生の第一歩となるのです。当社はそこに少しでも寄与できるように尽力していきたいと思っています。

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