サイボウズは6月17日、ノーコードで業務アプリを構築できる「kintone」のユーザーイベント「kintone hive 2025 fukuoka」をZepp福岡(福岡県 福岡市)で開催した。本稿ではkintoneを営業活動の司令塔として活用し成果につなげた、総合人材サービス事業を手掛けるワールドスタッフィングの事例を紹介する。

リモート勤務のママワーカー50%のチームを実現

福岡市博多区に本社を置くワールドスタッフィングは、総合人材サービスやアウトソーシング事業などを展開する。2017年設立で、福岡県の他に東京や大阪、熊本などにも営業所を構えている。

イベントでは、企業の法人開拓を代行するインサイドセールスBPO部門に所属する田口勇貴氏が、同部署におけるkintoneを活用した就労問題の解決と、kintoneを司令塔とした営業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の事例を紹介した。

  • ワールドスタッフィング HS事業本部 営業開発部 次長 田口勇貴氏

    ワールドスタッフィング HS事業本部 営業開発部 次長 田口勇貴氏

昨今の労働市場を見ると、深刻な労働不足が叫ばれる一方で、働きたいけど仕事がないという求職者も多い。このギャップの背景には、育児や介護、移住などの理由による、出社や勤務時間の壁がある。

田口氏らはkintoneを活用して、人手が不足する労働市場と、働きたいけど仕事がない求職者をつなぎ、課題解決に取り組んでいる。

kintoneはクラウド型のサービスであり、PCだけでなくスマートフォンやタブレット端末からどこにいても情報を編集・確認できる特徴を持つ。ワールドスタッフィングのインサイドセールスBPO部門ではkintone完結型の運用を実現し、その特徴を十分に生かしているという。

スタッフは福岡県内にとどまらず、全国からフルリモートで勤務している。それだけでなく、育児と両立しながら在宅で勤務するママワーカーの比率は50%とのことだ。

  • kintoneを中心とした運用で全国から就業可能に

    kintoneを中心とした運用で全国から就業可能に

実際に就業しているメンバーからは「子どもが熱を出したときでも、見守りながら仕事を続けられた」「夫の転勤で地方に移住しても仕事を続けられた」との声があったという。

kintoneで日報作成を不要とした仕組みとは?

田口氏は続けて、kintoneを中心としたオンライン型のセールスチームを実現した具体的なノウハウを紹介した。インサイドセールスBPO部門の主な業務は、企業の依頼によりBPOとして法人開拓営業を支援している。

  • インサイドセールスBPO部門の事業モデル

    インサイドセールスBPO部門の事業モデル

現在は軌道に乗り始めた営業活動のBPO事業だが、当初はアウトソーシングならではの課題があったという。それは、営業活動を外部へ委託することによる「ブラックボックス化」だ。企業の根幹である営業の状況が見えなくなることは、委託元企業にとって大きなリスクと考えられる。

「kintoneを活用して現場の見える化を進め、ブラックボックスではなく完全にクリアな状態にして顧客と共創型のBPOを実現しようと思った」と、田口氏は当時を振り返った。

具体的には、ワールドスタッフィングでプロジェクトを担当するチームメンバーがkintoneで完結するよう業務を推進する。作業の進捗や状況をkintone上に集約し、クライアント企業もその情報にアクセスできるようにすることで、リアルタイムな報連相(報告・連絡・相談)を実現し、スピーディな業務改善につなげている。

  • kintoneを中心とした共創モデル

    kintoneを中心とした共創モデル

その結果、従来は日報と定例ミーティングで報告していたプロジェクトの進捗を、クライアント企業は常時把握できるようになった。以前は日報の作成に30分、定例ミーティングに60分を費やしていた。しかし現在は、日報が不要となり、定例ミーティングも30分で終了するそうだ。kintoneそのものが日報として機能している。

  • kintoneで日報を不要に

    kintoneで日報を不要に

kintoneは「営業の司令塔」にもなる

kintoneを中心とした業務では、特に2つの通知機能が有効に使われているという。1つ目は受注速報。レコード画面のステータスを受注に変えると、プロジェクトメンバーに受注速報が通知される。これによりチーム内のコミュニケーションが活性化され、士気の向上とメンバーのエンゲージメント向上を促している。

2つ目はリマインド機能。日時フィールドを使って、対象企業に次に何かアクションを取る予定を登録しておくと、その予定時間に担当者にリマインドの通知が届く。アプローチする最適なタイミングを逃さないため、受注確度の向上につながっているという。

  • 通知機能を上手に活用している

    通知機能を上手に活用している

同社では他にも、候補の企業を取得情報の多さや親和性によってスコアリングしている。多量のレコードの中から、統一された基準によって優先度の高い企業を可視化し、効率的な営業活動を実現している。

例えば、「担当者の名前が分かれば10点」「担当者の名前と連絡先が分かれば20点」「その担当者に決裁権限があれば30点」といった具合だ。

これにより、ベテランのスタッフであっても新人のスタッフであっても、優先的にアプローチすべき企業がすぐに判断できるようになる。

  • スコアリングの例

    スコアリングの例

こうした取り組みの結果、2025年度に入社した新卒社員が、入社後わずか3週間で100件の商談獲得に成功したという。また、商談獲得率は22%だ。

  • 新卒社員が3週間で100件の商談を獲得

    新卒社員が3週間で100件の商談を獲得

田口氏は「この成果の要因は、kintoneを司令塔とした仕組みにある。スコアリングによって優先度の高い企業へ優先的にアプローチするだけでなく、リマインド機能で適切なタイミングでアクションできる。そして受注速報によってチーム全体の士気を高める。成果は複数のプロジェクトで確認できており、再現性がある」と紹介し、講演を結んだ。