米オラクルは9月16日(現地時間)、「Oracle Fusion Cloud Applications」に新しいAIエージェントを追加すると発表した。新しいAIエージェントは、従業員エクスペリエンスの向上、継続的なパフォーマンス管理を可実現し、エンド・ツー・エンドの人事プロセスを自動化してデータドリブンな意思決定を支援することで、業務効率を高めるよう設計されている。
今回の機能拡張のポイントについて、米オラクル グローバルHCM製品戦略担当 シニア・バイスプレジデント イベット・キャメロン氏に聞いた。
オラクルAIの差別化のポイントは2つ
キャメロン氏は機能拡張について説明する前に、同社のAIにおいて最も重要なこととして、同社のソリューションに埋め込まれていることを挙げた。
「オラクルのAIはビルトインであってボルトオンではない。インフラからアプリまで、AIはセキュアに埋め込む形で提供されており、ワークフローに組み込まれた形で利用できる」(キャメロン氏)
同社のソリューションに組み込まれているので、ユーザーは意識することなくAI機能を利用することができる。さらなるアドバンテージとして、追加のコストが不要であることをキャメロン氏は挙げた。
「Oracle Fusion Cloud Human Capital Management (HCM) 」は、100以上の従来のAI、生成AI、AIエージェントを提供しているが、これらすべてを標準の料金で利用可能というわけだ。ちなみに、AIエージェントの数は約50以上だという。
キャメロン氏はHCMのユーザーの60%がAI機能を使っていることを利用していることを引き合いに出し、「われわれは単にAIをたくさん提供しているわけではない。お客様の採用が広がっており、オラクルのAIが組織に価値をもたらしている証拠」と語った。
コンシェルジュが適切なAIを選んでくれる
今回、「Oracle Fusion Cloud HCMには13のAIエージェントが追加された。キャメロン氏は3つのカテゴリーに分けて、新たなAIエージェントについて説明した。
継続的なパフォーマンスマネジメント、エンゲージメントを実現
継続的なパフォーマンスマネジメント、エンゲージメントを実現するエージェントが以下の4つだ。
- チーム連携アドバイザー・エージェント
- チーム目標アシスタント・エージェント
- 学習支援エージェント
- タレント・アドバイザー・エージェント
キャメロン氏はこれらのAIエージェントについて、「これまでのAIエージェントはテキストの作成、要約が主だったが、新たなAIエージェントは従業員とのやり取りに生かせるアドバイス、その論理的な根拠となる情報を提供し、これまでになかったような新しいインサイトをもたらす」と説明した。
2023年末から2024年初めにかけてはAIをパフォーマンス管理に役立てることがメインだったが、2024年から2025年から機能を拡張し、パフォーマンスレビューなど、コンテキストを持った情報を提供できるようになったという。
「新しいAIエージェントはMicrosoft TeamsやSlackを経由してフィードバックを収集し、要約して分析する。そして、フィードバックからわかった感情までを含めたレコメンデーションを提供する。提案だけじゃなくレコメンデーションがあるのがポイント。エージェントに支援を受けることで、マネージャーは関係性や支援レベルを向上できる。従業員はマネージャーやエージェントを通じて生産性が改善し、その結果、エンゲージメントを高められて成果が生まれr」(キャメロン氏)
オペレーションの最適化、従業員の体験向上
オペレーションの最適化、従業員の体験向上に貢献するAIエージェントとして、以下が追加された。
- 従業員コンシェルジュ・エージェント
- マネージャー・コンシェルジュ・エージェント
- 従業員ライフサイクル・ポリシー・アナリスト・エージェント
- ポジション管理支援エージェント
- 給与処理アナリスト・エージェント
- 面接管理エージェント
これらAIエージェントは、マスターエージェントに当たるコンシェルジュに質問することで使える。マスターエージェントはオーケストレーションエージェントによって管理されている。キャメロン氏は「これが大事なこと」と話していた。「オーケストレーションエージェントはユーザーの意図を推測・理解し、それに沿ったサブエージェントと連携して、会社の規則を守った形で迅速かつ正確に結果を戻してくれる」(同氏)
キャリアの成長・開発
キャリアの成長・開発を支援するAIエージェントが以下となる。
- 職務適合性アドバイザー・エージェント
- キャリア・エージェント
- 後任計画アドバイザー・エージェント
AIで従業員個人に力を与える
キャメロン氏に、Oracle Fusion Cloud HCMのAIエージェントの今後の開発について聞いてみたところ、「これまでの人事管理のみではなく、人を中心としたプロセスにフォーカスすべきと考えている。従業員個人に力を与えることを主眼しており、仕事で能力を発揮できるよう、人材開発で成功を収めることができるよう支援する」という答えが返ってきた。
また、プロセスの自動化・合理化にもコミットしているという。「自律的なワークフローを展開できるような仕組みを提供する。重要性が低い業務ではなく、本来の仕事ができるようなワークフローを提供すべき」とキャメロン氏。
さらに、キャメロン氏は「今後、高齢化により労働人口が進む中、AIがチームメイトになる。つまり、HCMにおいては毎日のようにAIと一緒に仕事をすることになるだろう。そのために、仕事を再定義することが必要になる」と語った。
人事は人を管理するというセンシティブなプロセスだが、だからこそ、データに基づいて客観的に処理することで、これまでとは異なる成果が生まれるかもしれない。人手不足だからこそ、優秀な人材を育成し、従業員のパフォーマンスを高めたいものだ。それを後押しする一手がAIともいえ、AIを有効活用できるかどうかで、企業の人事戦略が変わってくるだろう。



