MicrosoftのエンジニアであるRaymond Chen氏は9月8日(米国時間)、「Why didn't Windows 95 simply special-case the laptops that locked up when it executed the HLT instruction? - The Old New Thing」において、Windows 95がCPUのHLT命令をサポートしなかった理由を説明した。
Windows 95はその名のとおり、1995年に発売されたオペレーティングシステムだ。英語版の発売から30年が経過した今、省電力機能をサポートしなかった本当の理由が明かされた。
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Why didn't Windows 95 simply special-case the laptops that locked up when it executed the HLT instruction? - The Old New Thing
重大な故障を回避するための処置だった
Windows 95を利用するにはIntel 486以降のCPUが必要とされる。このCPUには80286(Intel 486の2世代前)から特権命令となったHLT命令が含まれており、CPUを停止させて省電力化を実現することができる。停止状態からの復帰には、ハードウェア割り込み(NMIを含む)またはCPUリセットが必要とされる(参考:「80386 Programmer's Reference Manual -- Opcode HLT」)。
Raymond Chen氏はWindows 95がこの命令をサポートしなかった理由を次のように説明している。
「CPUがHLT命令を実行すると、回復不能なフリーズを起こすノートパソコンが複数機種存在したためです」
さらに、このときの故障モードは「文鎮化(brick)」だったと付け加えている。電源ボタンの長押し(強制切断)などのユーザー操作では、デバイスを復旧させることはできなかったとみられる。
当時のMicrosoftは、フリーズするノートパソコンを特定してHLT命令を無効化する回避策と、動的に影響の有無を検出する回避策を考えたようだ。しかしながら、前者ではノートパソコンを継続的に把握し続けることの難しさ、後者では偽陰性の可能性を排除できず、HLT命令のサポートを断念したという。
コンピュータで起きた不具合は、オペレーティングシステムに原因があるように見えることが多い。しかしながら、予想外のことが原因になっている可能性もある。コンピュータは複数企業の製品の集合体だ。それぞれが優れた機能を持っていても、正常に利用できるとは限らないことを本件は物語っている。
当時、Microsoftは省電力機能を実装しなかったとして非難されたようだが、内情はこのような事情だったようだ。