
ホワイトハッカーが日本で最も多く所属する会社
「昨今、インターネットを悪用した犯罪が蔓延している。当グループは『ネットのセキュリティもGMO』というキャッチフレーズを掲げ、インターネットの社会で何でも相談できる存在を目指していきたいと考えている。インターネット社会の発展のため、これからは急増するサイバーセキュリティの課題に取り組んでいきたい」
こう語るのは、GMOインターネットグループ副社長の西山裕之氏。
GMOインターネットグループとALSOKが提携し、リアルとサイバー空間の両面で不正侵入リスクを可視化する新たなセキュリティ診断サービスを始めることになった。
【サイバー攻撃にどう立ち向かうか? 】性悪説で脅威に備える「ゼロトラスト」戦略
年々、サイバー攻撃の脅威が巧妙化・複雑化しているのは、誰もが薄々感じていることだろう。ただ、中には、メンテナンス業者を装って会社や工場、データセンターなどの施設に侵入し、個人情報の入ったデータベースを盗み出したり、会社を辞めたばかりの退職者が機密情報を抜き出し、転職先企業やライバル企業に情報を提供したりといった、古典的・物理的な不正侵入による被害も多い。
そこで今回、リアル空間での豊富な警備実績を誇るALSOKと、サイバー面で強みを発揮するGMOインターネットグループの2社がタッグを形成。具体的には、物理的な侵入を足掛かりとしたサイバー攻撃に焦点を当てたセキュリティ診断サービスや、不正侵入リスクを可視化するセキュリティ診断サービスを実施。顧客企業に対し、診断結果に基づく評価と効果的な改善提案を行うというものだ。
金融庁が2024年10月に公表したサイバーセキュリティのガイドラインによると、望ましい対策として、定期的に「脅威ベースのペネトレーションテスト(TLPT=Threat-Led Penetration Testing)」の実施を推奨している。すでにGMOのもとにも、大手金融機関などから物理セキュリティを含むTLPTに関する問い合わせが多く来ており、今回のサービス提供につながった。
「今やわれわれの生活において、リアルとネットは切り離せるものではないし、インターネットの無い生活は想像できない。交通、物流、金融、医療、行政、あらゆる社会インフラがネットワークを前提に動いている。ALSOKとの今回の取り組みを通じて、セキュリティを掲げる同士として、リアルとネットの両面で安全・安心な社会の実現に貢献したい」(西山氏)
同サービスのカギを握るのが、GMOインターネットグループでサイバー攻撃対策事業を行う「GMOサイバーセキュリティbyイエラエ」。2013年に設立された新しい会社で、脆弱性診断を含む様々なサイバーセキュリティ診断やコンサルティングを手掛けている。
同社は約300人の社員のうち、約200人がホワイトハッカー(正義のハッカー)。ホワイトハッカーが日本で最も多く所属する会社とされ、数々のハッキングコンテストでも優勝した実績がある。今回の提携は、こうした世界トップクラスのホワイトハッカー集団がALSOKと連係することで、リアルとサイバー両空間でセキュリティ対策に乗り出すということである。
2025年の注力領域は セキュリティ事業
1995年にインターネット事業に本格参入し、今年で30年の節目を迎えたGMOインターネットグループ。現在はドメイン(インターネット上の住所)管理などのインターネットインフラや広告・メディア、金融、暗号資産、サイバーセキュリティなど、様々な事業を展開。近年は『AIで未来を創るNo.1企業グループへ』という方針を掲げ、AI(人工知能)に注力。本体を含めて上場企業10社、122社の連結子会社を抱えるグループへ成長してきた。
「インターネットを、より安全に、安心して使っていただける環境をつくっていこうと考えている」
同社の創業者でグループ代表の熊谷正寿氏は、2025年の注力領域にセキュリティ事業を挙げる。
「われわれが社会のために広げてきたインターネットが、犯罪者の道具になってしまっている。この現状を何とかしなければということで、『ネットのセキュリティもGMO』というキャッチフレーズを掲げ、様々な施策を進めてきた」(西山氏)というわけだ。
すでに、グループ約8000人のパートナー(従業員)のうち、約1100人がセキュリティ事業に従事。暗号化のセキュリティ、ホワイトハッカーを中心とするサイバーセキュリティ、なりすまし防止などを主体として企業のブランドを守るブランドセキュリティの3つが、大きなサービスの柱になっている。
サイバー攻撃の被害にあう個人や企業は後を絶たない。セキュリティ対策の必要性は分かっていても、多くの企業にとって、効果が目に見えにいため、対策が不十分なケースや、コストとしか見なされないケースも多々ある。しかし、サイバー攻撃による被害は甚大で、ブランド価値を失墜させる例も少なくない。
そうした中、「事件が起きる時にインターネットが悪用されている状況を無くさなければならない。そのために、われわれが持っているプロダクトやテクノロジーを多くのお客様にご提供し、皆さんが安心・安全に使っていけるインターネット環境を強化していく」と語る熊谷氏。
サイバー攻撃は全ての人や企業にとって大きな脅威。新たな技術発展の影にあるセキュリティ対策の強化へ。熊谷氏の挑戦は今後も続く。
FRONTEO社長・守本正宏「半導体の開発過程において不可欠な英ARMのように、 医薬品開発の設計図を担う企業として成長を!」