Microsoftは8月27日(現地時間)、「Cutting the wire without cutting the audio quality」において、Windows 11のBluetoothオーディオの品質を改善する新機能「超広帯域ステレオ(Super Wideband Stereo)」を発表した。
これは2020年に登場した新しいBluetoothオーディオ規格である「Bluetooth LE Audio」をベースに開発された機能で、マイク使用時でも高品質のステレオ音声を維持できる点が大きな特長となっている。
従来のBluetoothオーディオの問題点を解消
Bluetoothを使った従来のオーディオストリーミング規格「Bluetooth Classic Audio」では、用途に応じて2つの異なるプロファイルを使い分ける必要があった。1つは「A2DP(Advanced Audio Distribution Profile)」で、これは高音質の音声再生に対応している一方で、音声入力には対応していないため、マイクを使用することができない。もう1つは「HFP(Hands-Free Profile)」で、こちらは双方向の音声通話に対応するためマイクも同時に使用できるが、帯域幅が狭いため音質が犠牲になっており、ステレオ再生もできない。
この問題を解決するために作られたのが「Bluetooth LE Audio」だ。これはBluetooth Classic Audioをベースとして再設計された新しい規格で、低ビットレートでも高品質を維持できる「LC3」コーデックや、低遅延の通信チャネル「ISO(Isochronous Channels)」といった新技術によって、限られた帯域幅の中でも高品質なステレオ音声とマイク入力が可能になった。
Bluetooth LE Audioでは、Bluetooth Classic Audioとは異なり、「TMAP(Telephony and Media Audio Profile)」という単一のプロファイルで、高品質なメディア再生と音声通話を同時に処理できる。これによってユーザーは、モードの切り替えを意識することなく高音質な通話や音楽再生を楽しむことができ、オーディオ体験が飛躍的に向上する。
音声通話中でも高品質なステレオ再生を維持
今回Microsoftが発表した「超広帯域ステレオ」は、このBluetooth LE Audioの能力を最大限に引き出すもの。具体的には、マイク使用時においても、イヤホンやヘッドセットは32kHzのサンプルレートを維持することが可能で、ステレオ再生にも対応する。可聴音域のほぼ全域をカバーできるので、これまでこもりがちだった高音域もクリアに聞こえるようになる。
Microsoftが公開したレーシングゲーム「Forza Horizon 5」のデモ映像では、ゲームチャット中でも音声がクリアに聞こえ、ゲーム内のサウンドもリアルなステレオ再生を維持している様子がわかる。従来のBluetooth Classic Audioでは、このようなリアルなサウンドはボイスチャットと共存させることができなかった。
ゲームだけでなく、超広帯域ステレオはリモートワークの質も変える。Microsoft Teamsの「空間オーディオ」は、会議の参加者があたかも本当に画面上の位置にいるかのように感じさせる機能だが、これまでは有線ヘッドセットでしか利用できなかった。それが超広帯域ステレオによって、Bluetoothヘッドセットでも利用できるようになるという。
超広帯域ステレオを利用する方法
超広帯域ステレオを利用するには、Bluetooth LE Audioに対応したヘッドセットやイヤホンなどのデバイスと、同じくBluetooth LE Audioに対応したWindows 11 PCが必要となる。さらに、Windows 11 バージョン24H2の最新アップデートと、PCメーカーから提供されるBluetoothオーディオドライバーのアップデートを適用する必要がある。
Microsoftによれば、2025年後半以降に発売されるほとんどの新しいモバイルPCは、工場出荷時に超広帯域ステレオをサポートする予定とのことだ。
