OpenAI CEOのSam Altman氏が英国政府に仕掛けた壮大な提案が明らかになった。

The Guardianが8月23日(現地時間)に「Deal to get ChatGPT Plus for whole of UK discussed by Open AI boss and minister」において報じたところによると、Altman氏は英国技術担当国務長官のPeter Kyle氏に対し、全国民にChatGPT Plusを無料提供する計画を持ちかけていたという。

  • Deal to get ChatGPT Plus for whole of UK discussed by Open AI boss and minister |Peter Kyle|The Guardian

    OpenAI CEO Sam Altman氏

20億ポンドの壁で実現は困難

The Guardianによると、Altman氏とKyle氏は今年3月と4月にもサンフランシスコで会談しており、OpenAIと英国政府との協力について議論した際にこのアイデアが浮上したようだ。ChatGPTには無料プランもあるが、Altman氏の提案は通常ならば月額20ドルかかるChatGPT Plusを国民全員が無料で利用できるようにするというもので、実現すれば英国民はより高性能な最新機能にアクセスできるようになる。

Kyle氏は英政府内でもAIの導入に積極的な人物として知られており、自身の政治活動や政策立案においてもChatGPTを日常的に活用しているという。たとえば中小企業がAI導入で遅れを取る理由を分析させたり、自身が出演すべきポッドキャスト番組を推薦させるなど、具体的な利用例を公表している。

Altman氏の提案を実現するために必要な予算は20億ポンド規模に上ると試算されており、とくに財政上の問題から、Kyle氏は真剣に検討しなかったとのこと。ただし、20億ポンドという金額がどのように算出されたのかは明らかになっておらず、この数字は少し信憑性に欠けるものがある。いずれにしても、この提案は政策には至らなかったようだ。

OpenAIは英国政府と覚書交わす

とはいえ、OpenAIと英政府の間の協力関係に進展があったことは間違いないようだ。The Guardianでは、OpenAIが英国政府と、「英国におけるAIの成長のためにOpenAIがどのような支援ができるかを検討するという覚書(MoU)」を交わしたことも報じている。この覚書に拘束力はないものの、教育、防衛、安全保障、司法といった幅広い公共領域で、英政府がAI活用の可能性を模索している姿勢が明らかになった。

AI導入の流れが加速する一方で、著作権保護や個人情報の管理、大手テクノロジー企業への依存といった問題に対する懸念も依然として根強く残っている。これらの懸念を解消しつつ、AIを公共サービスの充実にどのように役立てていくのかが、政府にとっての当面の課題になりそうだ。