竹中工務店、NTTドコモビジネス、アスラテックは8月25日、空間IDを活用した建設現場のロボット運用システム「ロボットナビゲーションシステム」を開発したことを発表した。空間IDとは、経済産業省などが策定を進めているデータ規格。3次元空間を立方体(ボクセル)に分割し、各ボクセルに固有のIDを割り当てることで地球上のあらゆる位置を特定できる仕組み。
このシステムは、NTTドコモビジネスが展開する建設現場の作業間調整を支援するサービス「tateras(タテラス)作業間調整」と、空間IDの3次元位置情報を組み合わせることで、建設現場内におけるロボットの自律移動を可能とする。
これにより、巡回ロボットなどの高精度なルート設定を可能にし、ロボット運用に必要な手間とコストが削減でき、労働力不足の解消や生産性の向上にも貢献するという。
開発の背景
建設業界では労働力不足の解消や安全性と生産性の向上のために、人の代わりに作業するロボットの開発が進められている。建設現場でのロボット運用には、屋内 - 屋外間および3次元方向の移動が困難、自律移動に必要なマップの整備にコストが掛かるなどの課題があった。
こうした課題に対し3社は、2022年から空間IDを活用したロボット運用システムの開発に着手している。これまでに、四足歩行ロボット「Spot(スポット)」などを用いて、建設現場を巡回させる実証実験を実施してきた。
Spotは、Boston Dynamicsが開発した四足歩行ロボット。建設現場の屋内外の巡回や軽量物の搬送などが行える。現場内の階段昇降や、資材置き場周辺など足元に注意が必要な場所でも走破性を発揮するため、建設現場向けのロボットとして活用が期待される。
「ロボットナビゲーションシステム」と「tateras作業間調整」の連携
今回開発した「ロボットナビゲーションシステム」は、「tateras作業間調整」に入力される建設現場の図面および施工管理情報(日々の作業箇所、重機の位置、資機材の搬出入など)をもとにマップを構築し、空間IDを活用してロボットの移動ルートを設定する。
「tateras作業間調整」は、施工管理情報に対して開始・終了時刻とミリメートル単位の実スケールを付与する。そのため、ロボットの走行計画の作成時に走行可能な十分なスペースが確保できるかを、刻々と変化する施工状況と照らし合わせながら柔軟に計画できるという。
これにより、日々の工程に応じて変化する立入禁止区域や養生エリアなど、ロボットの点群マップだけでは走行可否判断が難しい建設現場においても、高精度なルート計画および自律移動を実現する。
また、ロボットの移動空間に対して、3次元空間上の位置を指定可能な空間IDを用いることで、屋内外や上下階の移動が生じる複雑な建設現場においても、各エリアで生成されたマップを統合してシームレスな自律移動を行う。さらに、空間IDをシステム間連携の共通言語として活用することで、異なる種類のロボットや複数台のロボットの同時運用も可能とのことだ。
竹中工務店の建設現場で実施した実証実験では、「ロボットナビゲーションシステム」を用いたロボットの巡回作業により、現場職員の確認作業の負担が軽減され、業務時間を約30%削減できた。また、空間IDをシステム間の共通言語として活用することで、ロボットのシステム開発コストも約30%の削減が見込めるという。

