6月に米ニューヨーク州・マンハッタンの「Javits Center」で年次イベント「DASH」を開催したDatadog。DASHではDatadogが描くAIの未来像や、その実現に向けた開発への注力など、もはや「オブザーバビリティ」という枠を超えた発表が数多くあった。本稿では日本市場に対する展望について、Datadog Japan プレジデント&カントリーゼネラルマネージャー 日本法人社長の正井拓己氏の話を紹介する。
Datadog Japanの成長と市場戦略
日本法人は2019年に設立し、2023年には国内データセンターと新設した東京オフィスを開設。2024年にミッドマーケット部門の設立に加え、認定資格試験の日本語化、パートナーシップ強化、フラッグシップイベントの開催など日本市場での認知も拡大し、国内でも確固たる地位を築きつつある。
正井氏は「Datadogの製品は、主にインフラで使われることが多いです。83%のユーザーが2製品以上、50%以上が4製品以上、10%が8製品以上を導入しています。こうした数字を鑑みると、まだまだユーザーに導入してもらえる価値があります。積極的に製品開発に取り組み、新しい製品機能を提供しています」と話す。
その一端として、DASHで発表されたものが生成AIベースのインテリジェンスアシスタントの「Bits AI」。これは、開発、運用、セキュリティチームの業務を支援するために設計されたドメイン特化型のAIエージェントだ。
同氏は「Bits AIの拡張機能は顧客視点からの開発や運用、セキュリティの各ペルソナの中で具体的なイメージを反映したものです。AIは積極的に活用が広がっており、現状では実験的な使い方ではありますが、独自のAIモデルを構築しているケースもあります。AIを活用する企業は拡大していることから、1つでも多くのユースケースを創出して、われわれのAIを広めていきたいと考えています」と語る。
さらなるDatadogの導入促進に向けたアプローチ
とは言え、同社の製品は大きく23のカテゴリに分かれており、AI活用に加え、モニタリング、セキュリティ、コスト管理、開発プロセスの可視化など幅広い領域をカバーしているため、正直なところ導入の優先順位が分かりづらい。
こうした疑問に対する解として同社は無料で利用可能なオンライン学習プラットフォーム「Datadog Learning Center」に加え、日本法人では前述した日本語対応の公式認定プログラムを用意している。
正井氏も「日本法人やパートナー企業による研修が充実している点は特筆すべき部分です。ある製品やサービスの効果を測定し、効果を認めてから導入します。そのうえで、運用の人員を開発チームに移管するなど、価値創造の部分に人材を適切に配置できるようになります。データも組織横断的に把握することが可能となり、Datadogではデジタル化されたビジネスを停めることなく、運用を継続できます」と力を込める。
また、複数のユーザーではDatadogのデータを経営会議などに使用し、従来はデータを集めてExcelなどに集約していたものを、よりシンプルに提供できているという。
さらに、最近の日本市場における同社の受け止められ方も変化しているようだ。同氏は「エンタープライズのお客さまに導入される状況になってきました。良いタイミングで数字が伸びてますし、IT投資が多い金融や製造業などのユーザーが増加しています。また、ミッドマーケットはテック系に加え、製造業にも積極的にアプローチしており、これまでカバーできていなかった領域で導入が進んでいます」と現状を紐解く。
6年目を迎えた日本法人の矜持
一方、昨年9月からOCI(Oracle Cloud Infrastructure)とのインテグレーションを提供開始。その点について正井氏は「日本法人としては、これから本腰を入れていきます。すでに日本オラクルのイベントへの出展などを行っており、関係を深化させています」と説く。
こうした日本法人における施策は実際の数字にも結び付いている。サブスクリプションの売り上げは2024年末時点で2021年比で2倍、導入者数は2000社に上り、事業環境を支える従業員も2倍に増員。同氏は「急成長に伴う責任は大きいですが、本社からの支援体制が整っています」と胸を張る。
そして、正井氏は「日本法人は6年目を迎えました。日本のビジネスも新たなフェーズを迎えなければなりません。エンタープライズでの採用増加に伴い、ミッションクリティカルなシステムでも活用されていることから、盤石な体制の構築とともに、パートナーとのコラボレーションが重要になります」と話す。
続けて、同氏は「これらは日本法人としてもネクストステージに進むために、取り組まなければなりません。AIの活用で製品ポートフォリオが拡大していく中で、CI/CDやDevOps、セキュリティなど、日本でも積極的に新しい分野でサービス提供します。日本市場でプレゼンスを高めることに一層注力し、日本法人をどのようなステージに持っていけるか重要な1年になるでしょう」と決意を新たにしていた。

