米Anthropicは8月12日(現地時間)、同社のAIモデル「Claude Sonnet 4」のコンテキストウィンドウを最大100万トークンに拡張したと発表した。これは従来の5倍にあたる規模であり、開発者は75,000行を超えるソフトウェアコード全体や、数十本におよぶ研究論文といった膨大な情報を一度にAIに与え、より複雑で高度なタスクを実行させることが可能になる。この新機能はAnthropicのAPI経由およびAmazon Bedrockでパブリックベータ版として提供が開始されており、近日中にGoogle CloudのVertex AIでも利用可能となる予定である。

トークンとは、AIがテキストを処理する際の最小単位であり、英語では単語程度、日本語では文字や語の一部に対応することが多い。コンテキストウィンドウとは、AIが一度のやり取りや命令で参照できるトークンの最大量を指し、これを超える情報は処理対象から外れる。

コンテキストウィンドウの制限がある場合、AIモデルに長いコードベースや膨大な文書を扱わせるには、分割して入力する必要があった。この方法では、ファイル間の依存関係や文書同士の関連性が途切れ、正確な解析や提案が困難になる課題があった。

Anthropicは100万トークン対応でAI活用が進展する分野として、以下の3つを挙げている。

  • 大規模なコード解析:ソースコード、テスト、ドキュメントを含むコードベース全体を一度に読み込ませることが可能となり、AIはプロジェクトやシステム全体の設計を把握した上で的確な改善提案を行える。
  • 膨大な文書の統合・分析:複数の契約書、膨大な研究論文、技術仕様書など、大量の文書群を横断的に分析し、それらの関係性を保持した要約や洞察が可能になる。
  • 文脈を保持するAIエージェントの構築:複数のツール呼び出しや多段階の作業を自律的にこなすエージェント開発を支援。APIドキュメントや過去のやり取りを常に参照できるため、長期かつ複雑なタスクでも一貫性を保てる。

GoogleやOpenAIも長大なコンテキストウィンドウを提供しているが、AnthropicはClaudeの強みである精度と安定性を維持したまま容量を拡張している。Bolt.newのCEOであるエリック・シモンズ氏は、「(Claude Sonnet 4の)100万コンテキストウィンドウにより、開発者は現実のコーディングに必要な高い精度を維持しつつ、これまでより大幅に大規模なプロジェクトに取り組むことが可能になった」と述べ、実務における性能向上を評価している。

この機能拡張に伴い、Anthropicは処理に必要な計算リソース増加を反映して価格を改定した。20万トークン以下のプロンプトは従来価格(入力100万トークンあたり3ドル、出力100万トークンあたり15ドル)を維持し、20万トークンを超える場合は入力が6ドル、出力が22.50ドルとなる。