日立製作所は7月31日、2026年3月期 第1四半期(1Q)連結決算の概要を公開。売上収益は2兆2583億円、親会社株主に帰属する四半期利益は1922億円で増収増益となり、調整後EBITA(Adj. EBITA)は2375億円と過去最高値を達成したことを明らかにした。

調整後EBITAは過去最高 - エナジー・モビリティが好調

決算説明会に登壇した日立 執行役専務の加藤知巳CFOによれば、売上収益は前年1Q比で2%増加。四半期利益は1922億円で、168億円の増加となった。またAdj. EBITAは2375億円で、過去最高値を達成しており、売上収益とともに計画を上回ったという。コアフリーキャッシュフロー(コアFCF)については、大型プロジェクトの前受金が集中したことが影響し、前年比で2804億円増となる3514億円となったが、その大口前受金を除いても前年比で700億円増加しているとする。

  • 2026年3月期1Q実績および通期見通し

    日立の2026年3月期1Q実績および通期見通し(出所:日立)

こうした増収増益の要因について、加藤CFOは「為替や米国関税の影響が一部で見られたものの、エナジー領域のパワーグリッド事業、およびモビリティ領域の鉄道事業が、継続的なGX(グリーントランスフォーメーション)需要の高まりを受けて好調に推移した」ことを挙げる。セグメント別でみると、エナジーでは、パワーグリッド事業における送電網設備の更新や再生可能エネルギー電源接続などの需要が好調。またモビリティでは、タレスの鉄道信号関連事業を買収した影響に加え、信号システム案件も堅調に推移したことから、両領域で当初の計画以上の売上収益に到達したことから、年度見通しもそれぞれ上方修正を行ったという。

一方、DSS(デジタルシステム&サービス)とCI(コネクティブインダストリーズ)については、前年比でわずかに売上収益が減少。国内事業は堅調に成長しているものの、米国関税の影響で海外事業ではストレージ事業を筆頭に苦戦を強いられているが、今後の拡販強化や営業活動の効率化、コスト低減などの施策を推進することから、目標は据え置きとされた。またCIについては、中国での新設需要が減少した昇降機事業などを背景に減収減益となったものの、半導体製造装置事業などの事業で収益性を改善しており、加藤CFOも「概ね計画通り」としたうえで目標に変更はないとしている。

  • 日立 執行役専務の加藤知巳CFO

    日立 執行役専務の加藤知巳CFO(提供:日立)

そして、日立が“稼ぎ頭”として注力するDX支援事業(Lumada事業)では、エナジーを中心に拡大を継続。売上収益は前年から54%増加し、連結業績に占めるLumada事業の比率が41%まで向上した。ただし、同社は2025年度よりLumada事業の区分見直しを行っており、前年比増加額の半分程度が、この区分見直しによって新たにLumada事業の対象とされたものとのこと。だが一方で、残る半分はLumada事業として順調な拡大を続けていることに変わりはなく、4セグメントにまたがる領域としてさらなる成長に取り組むとした。

米国関税影響は約300億円を想定 - 中長期的には解消の見通し

なお、米国相互関税によって受けた直接・間接影響金額については、Adj. EBITAで25億円のマイナスと算定され、年度全体では40億円になると推測。日立エナジーを中心として価格転嫁などの対策を講じたことで業績へのインパクトは抑制されたものの、DSSで一部顧客の投資抑制が発生するなど間接影響は色濃く残されている。しかし加藤CFOは、「北米地域における主要事業であるパワーグリッド事業の需要拡大モメンタムは、中長期的には変わらないと考えている」とし、通年での業績見通しとしては、Adj. EBITAで約300億円、利益で約350億円のマイナスをリスクとして織り込んだとする。

  • 米国相互関税が及ぼす影響

    米国相互関税が及ぼす影響の実績と見通し(出所:日立)

2026年3月期全体では、米国関税の問題など短期的なリスクはあるものの、今期の成長を支えたDX/GXの需要拡大の流れは継続すると想定しているといい、今後の戦略投資の増額やさまざまなリスクを織り込んでも、エナジー・DSS・モビリティそれぞれの拡大により、すでに発表済みの見通しから変化は無く、増収増益を達成できる見通しだとする。そして年間での売上収益は10兆1000億円と、前年比で3%、為替影響を除けば前年比6%の成長を見通すとしている。