
「東京という都市の可能性を広げる」――。こう話すのは野村不動産ホールディングス社長の新井聡氏。
野村不動産がJR東日本と開発している大規模複合ビル「ブルーフロント芝浦」の開業が近づいてきた。このプロジェクトでは「S棟」、「N棟」の2本の高層ビルを開発しているが、そのうちのS棟が2025年9月1日に全面開業する。
浜松町ビルディング(東芝ビルディング)の建て替えと、JR東日本が保有する「東海道貨物 大汐線用地」を活用し、オフィス・ホテル・商業施設・住宅を整備するという再開発。
S棟は25年2月に竣工しており、N棟は30年度竣工予定。そして25年8月には野村不動産のグループ8社が、このブルーフロント芝浦に移転。「グループ内の連携を強化する」(野村不動産社長の松尾大作氏)。
改めて、今回の本社移転について松尾氏は「物理的閉塞感があった」と話す。現在は新宿野村ビルに本社を置くが、事業領域などが拡大する中、拠点が近接のビルに分散していることが課題だった。芝浦に移転、グループを集約することで、新たな成長を図る狙い。
気になるオフィスの内定率だが、25年6月時点で「9割弱」(野村不動産取締役専務執行役員・黒川洋氏)。IT系、医療系企業など幅広い業種の入居が決まっており、開業前の満床を目指す考え。
また今、東京・浜松町周辺は東京の「玄関口」として、さらなる成長が期待される。そこで、近隣の竹芝地区、浜松町芝大門地区と連携、25年11年に「芝東京ベイ協議会」を設立する。地域の潜在力を掘り起こすための取り組みも続く。