7月9日から11日まで幕張メッセで開催される「ものづくりワールド東京」内の「設計・製造ソリューション展 東京」。同展示会は、CAD、CAE、ERP、生産管理システムなどの製造業向けITソリューションが出展される。
本稿では、「変化を捉えて進化するダイナミックマニュファクチャリング」をテーマに、エンジニアリングチェーン・サプライチェーン・サステナブルチェーン・プロダクションチェーン・サービスチェーンの5つの領域でさまざまな製品の展示を行ったNECのブースを紹介する。
設備保全を革新する「保守要員のバーチャルトレーニング」
最初に紹介するのは、サービスチェーン内で展示されているアフターサービス・設備保全を革新する「保守要員のバーチャルトレーニング」。
同サービスは、スウェーデンのIFS社が提供する、製造業を中心にサプライチェーン全体の業務をカバーするグローバルERPシステム「IFS Cloud」とVRトレーニングを掛け合わせたもので、保守作業をVRで体験することを可能にする。
バーチャル上に表示されるマニュアルの手順に従って作業することで、安全に訓練を行うことができ、フィードバックとして作業にかかった時間なども確認できる。
さらに、トレーニングを修了したことを表すデジタル修了証も発行することができ、保守業務全体の高度化も目指せるという。
ユーザーのニーズに応じてトレーニングの内容を自由に設定できるそうで、今回の展示会ではデモンストレーションとして「ブレーカー交換訓練」のトレーニングを受けることができる。
同サービスは現在NEC内で実証中で、同製品を活用することで、VRで繰り返し作業員をトレーニングできるほか、AIスケジューリングで作業員割当の効率化を図れるという効果が見られているとのことだ。
規制要件の製品適合を支援する「NEC製品法規適合AIアシスタント」
続いて紹介するのは、生成AIを活用して、規制要件の製品適合を支援する「NEC製品法規適合AIアシスタント」。同製品は、エンジニアリングチェーン内で参考出展として展示されていた。
同製品は、AIにより、法規改定の自動検知から要否判断、影響範囲の特定までを支援する。法規対応を一元管理し、属人化を排除した確実かつ効率的な運用を実現するという。
これまで「法規改定に気付けない」「解釈に迷う」「対応に漏れが出る」といった不安の声が多く挙がっていたそうで、その不安をAIの情報監視・要約・影響分析によって、短時間で誰でも対応できるよう開発されたとのこと。
「対応すべき法規の特定・アラート」「要対応法規を解釈し影響範囲を特定・法規要件のサジェスト」「各製品の対応法規とアクション管理」といった機能を搭載予定で、同サービスを通じて「仕組みで品質をつくる時代」を目指していきたい考え。
今後の予定としては、2025年7月~9月でMVP(Minimum Valuable Product)として、ミニマムの機能を備えたプロダクトを開発。同年10月からPoCを実施し、2026年4月からの本格導入を目指す。
AIエージェント機能を搭載した「自動交渉AI」
最後に紹介するのは、NECのAgentic AI(AIエージェント)を搭載した「自動交渉AI」。
同サービスは、最良の取引条件を生成し、動的に交渉するNECの独自AI技術で「交渉案の生成」と「取引相手との交渉」を行ってくれる。
これまで膨大な時間がかかってしまっていた納期や数量変更の調整に、同サービスを導入することで、意思決定の迅速化と需要変動に即時に対応することができるようになるという。
NECグループ内での実証実験では、交渉の際に購買担当者が介入せず、AIのみであっても95%が合意まで至っているというデータが確認できたそう。さらに、交渉開始から完了まで数時間~2日ほどかかっていた時間が80秒にまで短縮されたというデータもあり、大幅な業務効率化を図れている。
なお今後は、自動交渉AIのインプットとなる適正在庫数をシミュレーションし、勘に頼らない適正在庫数を算出する仕組みも検討するという。