NECは7月4日、NECの役員など経営幹部34人を対象に、新入社員が講師としてリードしながら、デジタルを活用した課題解決に取り組む「リバースメンタリング研修」をNEC本社ビルで実施した。本稿では、同研修の模様をお届けする。経営幹部は新入社員から何を学んだのだろうか。
「リバースメンタリング研修」とは?
今回の研修の主軸として設定されている「リバースメンタリング」とは、近年、注目されている新しい人材育成の手法で、企業の若手社員と先輩社員が立場を逆転(リバース)し、若手が先輩に助言を行う教育支援の仕組みのこと。
NECでは、「リバースメンタリング」の下、若手登用の機会の醸成や経営・マネジメント層のマインドセットの変革を目指し、役員/部門長と新入社員を対象とした「役員が新入社員から学ぶ」ことを目的とした研修を実施している。
この「挑戦」と「企業変革」をテーマに開始された「リバースメンタリング研修」は、今年で2回目の開催となった。
今年の研修は7月4日と11日に参加者を入れ変えて2回行われ、第1回目の4日の研修には、NEC役員・部門長34人、新入社員(リバースメンター)40人が参加した。
参加者の新入社員たちは挙手制で決まったメンバーで、今年は800人中250人が「リバースメンタリング研修」への参加を希望した。
希望者の中から選ばれた参加者たちは、1カ月の新入社員研修を終えたあと、リバースメンタリング研修に向けて、コミュニケーションスキル研修を受講。「リバースメンタリング研修」で役員とフラットな状態で話すため、この日に向けてたくさんの準備をしてきたという。
ノーコードによるアプリ開発に挑戦
ワークショップでは、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した課題解決実践ワークとして「NEC社員のwell-beingが小さく向上する企画をせよ!」という課題に対し、プログラミング不要のノーコードツールを用いたアプリ開発が行われた。
参加者たちは新入社員を中心にこの課題について話し合い、模造紙に自分たちの意見やアイデアを書き込んでいくことで、アプリ開発を進めていた。
ワークショップが終了すると、ワールドカフェ形式のプレゼンテーションが行われ、各班が考えたアプリの内容が紹介された。筆者が伺った班では「お昼マッチング」という、「社食のメニューの残数が分かる」という内容のアプリを開発していた。
このアプリはメニューがどのくらい残っているかを確認できるほか、その日の気分に適したメニューをおすすめしてくれる機能なども搭載されており、ワークショップで出た意見がたくさん盛り込まれているのが感じられた。
その他にも「健康状態をチームで共有できるアプリ」「チャット時に自動で絵文字が入るアプリ」など、個性豊かなアプリが開発されていた。
研修の最後には、新入社員たちが研修で学んだことや感じたことを発表。「偉い人には偉いだけの理由(コミュニケーションや会話術、知識の豊富さ)がある」というコメントが寄せられると、会場全体が笑いに包まれていた。
研修に参加したCorporate SVPの繁沢優香氏は「昨年に引き続き2回目の参加だが、昨年よりもアグレッシブで責任感の強い新入社員が多くなったように感じる。またここまで壁を感じず、若手社員と話す機会もなかなかないので、お互いに良い時間だった」と研修を振り返っていた。