【総務省】放送事業者のガバナンス確保へ向けた検討会を設置

総務省は、放送事業者のガバナンス(企業統治)の確保に向けた検討会を設置すると発表。元タレント中居正広氏の性加害問題への対応で、フジテレビが第三者委員会からガバナンス欠如を指摘されたことを踏まえたもので、近く初会合を開く。

 村上誠一郎総務相は、「国民の共有財産である電波を用いる放送は、公共性および言論報道機関としての大きな社会的影響力を有している」と指摘。その上で、検討会の狙いについて「国民の放送に対する信頼を回復するために、放送事業者の自主・自律を基本とする枠組みの下、健全なガバナンスを確保するための方策が必要だと考えた」と語った。

      村上誠一郎・総務相

 一方、渦中のフジテレビ親会社フジ・メディア・ホールディングス(HD)は定時株主総会を開催。新経営陣の決定に向け、会社側は唯一再任を求める清水賢治氏に加え、元ファミリーマート社長の沢田貴司氏ら新任候補10人の計11人を擁立した。

 一方、フジHD株の7.5%を持つ大株主の米ダルトン・インベストメンツは、SBIホールディングス会長兼社長の北尾吉孝氏ら12人を提案。経営側と「物言う株主」のファンドが経営体制をめぐり全面的に対立する構図となったが、米ファンドが提案した取締役候補は全員が否決された。

 両陣営がそれぞれ取締役候補を公表した後、大株主や機関投資家に支持を呼び掛け、個人株主にもメディアを通じてアピールする異例の展開となったが、米ファンド側候補の北尾氏が「清水氏は残してもいい」と発言したことが、間接的に経営側提案の支持につながったのではないかとみられている。

 フジは新経営陣の指揮のもと、スポンサーの不信を払拭し、CM放送の早期再開につなげたい考え。ただ、スポンサーの多くは改革の実行状況を注視する構えで、再開の動きが広がるかは不透明だ。ダルトンの他、村上世彰氏の長女もフジHD株を買い増しており、新経営陣は難しい舵取りを迫られることになりそうだ。

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