Mozillaは、AI関連のOSSプロジェクトを進めるMozilla.aiにおいて、WebAssembly(WASM)とPyodideを使ってAIエージェントをブラウザ上のHTMLで直接動かす「Wasm Agents Blueprint」をGitHubリポジトリに公開した。
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「Wasm Agents Blueprint」のGitHubリポジトリ
各HTMLファイル単体で呼び出せるAIエージェント
「Wasm Agents Blueprint」はHTMLファイルのみで構成されているテンプレートだが、ブラウザに標準実装されているWebAssembly、ブラウザ上でPythonを実行できる「Pyodide」技術を用いることで、HTMLファイル単体でエージェントを動作させる仕組みを設計図"Blueprint"として公開している。デモフォルダには、4枚のHTMLファイルが設置してあり、OpenAI APIやOllamaローカルモデルを使ったエージェントの簡単な設定、呼び出しなどをブラウザ上のHTMLから行える。GitHubのページにはシンプルなチュートリアルがあるので実際に、demosフォルダにあるhello_agent.htmlを試してみた。Gitが必要になるが
git clone https://github.com/mozilla-ai/wasm-agents-blueprint.git
で必要なファイルが構成されるので、
cd wasm-agents-blueprint/demos
でdemosフォルダへ移動。ここには目的のデモ用のHTMLファイル4つ(hello_agent.html、handoff_demo.html、tool_calling.html、ollama_local.html)と設定ファイルconfig.jsがあるのみ。hello_agent.htmlは基本的な会話エージェント例で、handoff_demo.htmlはマルチエージェント、tool_calling.htmlはWebスクレイプイング文字数カウント機能を持つエージェント、ollama_local.htmlはローカルLLM版Ollamaを用いるエージェントがあるが、ここでは基本的な会話エージェント例「hello_agent.html」を表示させてみよう。といっても設定はとても簡単。config.jsにOPENAI_API_KEYを設定して、
window.APP_CONFIG = {
OPENAI_API_KEY: 'your-api-key-here'
};
hello_agent.htmlをダブルクリックしてブラウザで開くだけ。Hello Agent!と書いてあるHTMLファイルが開く。設定マーク「Initialize Pyodide Environment」をクリックするとエージェントが読み込まれる。
次に、下の方にHTMLフォームでプロンプト設定(Custom prompt)、振る舞い・指示(AgentInstructions)の入力がある。ここではQuickExamples:にあるPhilosophy(哲学)を設定し、日本語表示させるたin Japaneseと追加。「Run Agent」ボタンを押すと、
最下部のOutPutに「人生の意味とは、森の中で迷子になっている時に、星を見上げて道を見つけるようなものだ。星が目印となり、道しるべとなる」と比喩を使って人生の意味を日本語で話す哲学者となったエージェントからの言葉が表示された。
"Wasm Agents"を紹介するMozillaの公式ブログには、オープンソースエージェントの普及を目的に、フレームワークの追加の依存関係をなくしたシンプルな方法として試験的に公開した旨を掲載している。なお、「Pyodide」は、こちらの連載で詳しく解説されている。