
高騰が続くコメ価格の抑制が石破政権の重要課題となる中、就任したばかりの小泉進次郎農水相が28日、国交省に直接要請に訪れた。政府備蓄米の放出を巡る中野洋昌国交相との面会は報道陣に公開する形で行われ、小泉氏は備蓄米の輸送や保管に関わる倉庫業界などへの協力を呼びかけるよう求めた。
小泉氏は、「コメを買ったことがない」と発言して事実上の更迭となった江藤拓前農相の後任に抜擢されて以降、備蓄米の随意契約に着手し、圧倒的な発信力を見せつけている。夏の参院選を控え、自民党など与党にとってはコメ価格問題の収束は喫緊の課題だ。
小泉氏との面会で中野国交相は、既に運送業界に対して迅速な輸送を求めていることを説明。その上で「物流で目詰まりを起こすことがないよう、しっかりやっていきたい」と述べ、最大限の協力をする意向を示した。
農水省は、随意契約による備蓄米の放出について、手が挙がった大手小売業者から中小事業者などへと順次進める構え。スーパーなどの店頭に5㌔2千円台以下のコメが並ぶことで平均価格が抑制されることを目指しており、国交省としてもスピード感に水を差さない対応が求められている。
ただ、輸送体制の支援に向け、具体的な取り組みが何か取れるのかという難しい。トラック運転手不足など物流業界が抱える問題が根底にある中、輸送コストは上昇。省として適正運賃を実現するため運賃水準の引き上げやドライバーの労働環境改善を働きかけている立場でもある。
倉庫業界からは既に、備蓄米が放出されることで保管貨物が減少し、収入の激減に直面しているとの不満が噴出している。「業界に協力要請しているとしか言えない」(省関係者)のが実情だが、国民人気の高い農水相に注目が集まる環境下、コメ価格の高騰が落ち着くまでの間は慎重な立ち回りが必要となりそうだ。