米OpenAIは6月4日(現地時間)、「ChatGPT」のビジネス向けの新機能および機能強化を発表した。クラウドストレージおよび業務アプリとの連携拡充、独自システムとの接続を可能にするMCP(Model Context Protocol)への対応、会議の記録・文字起こし・要約を行う「レコードモード(record mode)」など、ChatGPTを日常業務にさらに深く組み込み、知識労働の生産性を高めることを狙ったものである。同社によれば、今年2月時点で200万だったChatGPTのビジネス利用者が300万ユーザーを突破した。企業による採用も急速に拡大している。
今回のアップデートで、Plus、Pro、Team、Enterprise、Eduプランにおいて、外部サービスとChatGPTの連携を可能にする「コネクタ」機能を、以下のようなクラウドストレージやアプリケーションで利用できるようになった。
- クラウドストレージ:Googleドライブ、Dropbox、Box、SharePoint、OneDrive
- コミュニケーション:Gmail/Googleカレンダー、Outlook、Microsoft Teams
- プロジェクト管理:Linear
- 業務・営業支援 :HubSpot
- 開発リソース:GitHub
これまで「Deep Research」は主にWeb上の情報を対象としており、ChatGPTが公開情報に基づいて高度な検索・分析を行うための手段であった。しかし、今回の強化により、Webに加えて社内のストレージやアプリケーション内の情報を横断的に検索・分析することが可能になった。これにより、ユーザーはファイル、会話履歴、顧客管理データなど、社内に蓄積された情報を活用して、業務上の意思決定や調査の効率化を図れる。
さらに、企業やチームの管理者はMCPを利用して、独自の社内システムやデータベースに接続するためのカスタムコネクタを構築できる。これにより、既存の業務環境に応じた柔軟なAI活用が可能となる。この機能は、Team、Enterprise、Eduの管理者およびProユーザーに提供される。
レコードモードは、ChatGPTが会議、ブレインストーミング、音声メモなどを録音し、自動で文字起こし、要点の抽出、アクションアイテムの生成などを行う機能である。現在はMac版アプリでTeamユーザー向けに提供が開始されており、今後は他プランにも順次展開される予定である。
レコードモードを利用することで会議中のメモ取りが不要となり、参加者は議論に集中できる。生成された記録にはタイムスタンプが付与され、特定の発言内容やその発言者を簡単に確認することが可能。これらの記録もChatGPTの検索対象として扱われるため、過去の会議内容を後から検索・再活用することが容易になる。