
「ポイント経済圏」巡る競争は新たな段階に─。
「この提携を、SMBCグループのあらゆるサービスの変革につなげていく」─こう話すのは三井住友フィナンシャルグループ社長の中島達氏。
2025年5月15日、三井住友FGはソフトバンクと「ポイント事業」などで包括提携することを発表した。傘下のカード会社・三井住友カードが展開する個人向け金融サービスアプリ「Olive」と、ソフトバンク系のスマホ決済「PayPay」を連携させる。
両社は三井住友FGが「Vポイント」、ソフトバンクが「PayPayポイント」を持つ。これまで、楽天グループの「楽天ポイント」、三菱商事・KDDIの「Pontaポイント」、NTTドコモの「dポイント」という5陣営が勢力争いをしている構図だったが、そのうちの大手2社が「大連立」を組んだ形。
加えて「ソフトバンクとの提携は三井住友カードやリテールビジネスにとどめることなく、SMBCグループ全体に幅広く広げていきたい」(中島氏)。
具体的には、「Olive」の会員にソフトバンクのヘルスケアサービスを提供、決済データと人流データを組み合わせたデータ活用の高度化、生成AI(人工知能)を活用した新たなビジネスの創出を目指す。
ただ、元々ソフトバンクのメインバンクはみずほフィナンシャルグループで、三井住友FGは準メインという位置づけ。だが、みずほFGが楽天証券、楽天カードへの出資を通じて楽天グループとの結びつきを強めていることもあり、新たな陣営構築につながった。
「今日の味方が明日の敵」になる、何が起きても不思議ではない時代。今後もポイント経済圏を巡る合従連衡は続きそうだ。