
世界の原子力回帰が 進みつつある中で…
九州電力が『九電グループ経営ビジョン2035』を策定。従来より安全性を高めた「次世代革新炉」の開発・設置を検討していることを明らかにした。半導体工場やデータセンターなどの建設による電力需要の増加が予想される中で、電力確保と脱炭素の両立を図るには安全性を高めた原子力の役割が大きいと判断したようだ。
次世代革新炉について、同社は「将来の需給状況や電源構成の見通しも踏まえつつ、様々な選択肢を検討することが必要。革新軽水炉をはじめ、SMR(小型モジュール炉)、高温ガス炉等の情報収集をおこなっているところ」としている。
同社では6月から社長の池辺和弘氏に代わり、常務の西山勝氏が社長に昇格する方針で、具体的なアクションは西山氏に託されることになる。
近年、世界では原子力回帰が進みつつある。2022年のウクライナ戦争以降、英仏など欧州各国がロシアへのエネルギー依存を減らそうと、脱炭素電源として原子力強化を宣言。米国でもデータセンターへの電力供給として、アマゾンやマイクロソフトなどが原子力を活用する考えを明らかにしている。
日本では今年2月に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」で、再生可能エネルギーと共に原子力を最大限活用していくと明記。2011年の東日本大震災以降、可能な限り原発依存度を低減するというエネルギー政策を大きく転換した。
電気事業連合会会長の林欣吾氏(中部電力社長)は「大きな転換だ」と歓迎の意を表明。「資源の少ない我が国において、国民生活と経済成長を支え、脱炭素化も同時達成していくためには、原子力の果たす役割はますます高まっている」と語る。
ただ、新計画では2040年度の電源構成について、再エネが4~5割程度、原発が2割程度、火力が3~4割程度を占めるとの見通し。原発比率2割を実現するためには、計算上、国内の原発33基がほぼ全て稼働しなければ届かない。現時点で再稼働したのは14基のみ。地元理解などの課題は残り続けており、再稼働がスムーズに進むかは今後も見通せない状況だ。
