【トランプ・ショック】「ドル基軸通貨体制」に揺らぎ、金価格高止まりに見る危うさ

 昔から、世界が荒れれば『有事の金』というのは変わらない」と指摘するのは、第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏。

 米トランプ大統領の関税政策などで世界の政治経済が揺れている。その動きは商品市況にも表れ、金価格は2025年4月に1トロイオンスあたり3300㌦を超える史上最高値。米株式市場が乱高下する中、安全資産である金が買われた。さらに相互関税の90日間凍結やFRB(米連邦準備制度理事会)議長のジェローム・パウエル氏の解任示唆の撤回などを受けて株式市場は乱高下を繰り返す。

 さらに、足元では落ち着いているものの、4月にはアメリカの株式、債券、通貨が一斉に売られる「トリプル安」に陥る局面もあった。この状況を見て、熊野氏は「トランプカーブ」を提唱。最初にトランプ大統領が極端な相互関税打ち出しなどで「脅し」をかけるとマイナス100くらいの状況となるが、その後、妥協や修正を経て、マイナス50くらいに戻っていく。

 しかし、「脅し」への疑念が残るので、最初よりは状況が悪くなる。「株価は戻っているだけ。また『脅す』のでカーブはジグザクを描く」(熊野氏)。「トリプル安」の再来も懸念される。

 ドル基軸通貨体制が構築されてから半世紀以上が経つ。すぐに崩壊するとは思われていないものの、直近の米国売りを始め、多くの国が現在の体制が必要ないと考えるようになると、ドルの立場は大きく揺らぐ。いずれにせよ日本は米国一本足でなく、欧州やアジアなど、価値観を同じくする国々との連携も視野に入れた行動が求められる。