日本電信電話(以下、NTT)と中華電信は5月26日、IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)国際間オールフォトニクスネットワークを活用し、歌舞伎とICTを融合した歌舞伎「超歌舞伎」と、台湾の伝統芸能「官将首(かんしょうしゅ)」が国境を越えてリアルタイムに共演する演出に成功したことを発表した。
なお、今回の演出は大阪・関西万博NTTパビリオンデーにおける「超歌舞伎〈CHO-KABUKI〉Powered by IOWN『今昔饗宴千本桜 Expo2025 ver.』」(5月24日・25日)において上演された。
IOWN国際間オールフォトニクスネットワークを活用した日台リアルタイム共演演出の実現
2024年8月29日に開通したIOWN国際間オールフォトニクスネットワークを活用し、大阪・関西万博会場と台北・中華電信綜合活動センター間を接続することで、大容量・低遅延通信の特徴を活かしたリアルタイム演出を実現できることを実証した。
これまでにも、異なる場所で演じる舞台の様子をリアルタイムに伝送し、一体となった演出を行う実績はあった。しかし今回は大阪・関西万博会場で演じる「超歌舞伎」の演者と台湾で演じる「官将首」の動きを互いの会場へリアルタイムに双方向伝送することで、約3000キロメートルの距離での一体的なパフォーマンスを両会場の観客が同時に楽しむことができるという演出を実現し、国境を越えた新しいエンターテイメントを披露した。さらに、大阪・関西万博会場の照明と台湾の照明も同期させることで、国際間で一体となった照明演出を実現したとのことだ。
クロスモーダル検索技術により日台の観客のペンライトの振り具合をリアルタイムに検出・演出へ反映
観客のペンライトの振り具合をリアルタイムで解析し数値化するクロスモーダル検索技術と、IOWN国際間オールフォトニクスネットワークを組み合わせて、日本・台湾において観客一体型の演出を実現。
この技術は超歌舞伎のクライマックスで、枯れてしまった桜を満開にするシーンにおいて、日本と台湾の観客のペンライトの振り具合をリアルタイム認識し、ペンライトを振れば振るほど桜がスクリーンに満開になる幻想的な空間演出に生かされている。
獅童ツインの更なる進化 - マルチリンガルな獅童ツインによる日台同時音声ガイド
NTTのデジタルツイン技術「AnotherMe」によって生まれた獅童ツインが、会場内の音声ガイドの解説を務めた。歌舞伎役者 中村獅童氏本人の少量の音声からNTTがクロスリンガル音声合成技術を活用してAIで生成し、日本語のみならず英語、中国語といった複数の言語のガイドを提供。
今回はIOWN国際間オールフォトニクスネットワークを用いて、イヤホンガイドが提供するスマートフォンアプリ"EG-G(エッグ)"が用いる非可聴音の制御信号を、IOWN国際間オールフォトニクスネットワークを経由して台湾に伝送させることで、台湾にスタッフを配置することなく演出タイミングに合わせて音声ガイドを台湾に同時配信させることにも成功している。
IOWN国際間オールフォトニクスネットワークを用いた国際間同時ライブ配信の実現
IOWN国際間オールフォトニクスネットワークの大容量かつ低遅延の特徴を生かして、大阪と台湾の複数のカメラ映像を大阪でプロダクションを行い、国際間リアルタイム共演を日本と台湾の複数の配信プラットフォームに同時ライブ配信させることに成功。
公演の模様はリアルタイム配信(日本:バーチャル万博・ニコニコ生放送、台湾:中華電信MOD、中華電信Hami Video)に加え、アーカイブ配信(日本:Lemino、台湾:中華電信MOD)を通じて体験を提供した。