マイナビ出版は5月23日、リファクタリングテクニックを実践的に教える書籍『実践で学ぶコード改善の極意 5行ルールで強く美しくリファクタリングする』を発売する。本書はMANNING出版から刊行されている『Five Lines of Code』(Christian Clausen 著)の日本語翻訳版で、通称ボブおじさん(Uncle Bob)の呼称で知られる伝説的プログラマーRobert C. Martinによる序文も収録。
『実践で学ぶコード改善の極意 5行ルールで強く美しくリファクタリングする』
Christian Clausen(著)、Robert C. Martin(序文寄稿)、松田晃一(翻訳)
定価:4,235円(本体3,850円+税10%)
発売日:2025年5月23日
ページ数:384ページ
ISBN 978-4-8399-8771-8
「コードの臭い」に頼らない、新たな視点のリファクタリングを解説
開発中のプロジェクトでも、レガシーシステムの保守でも、問題をはらんでいる可能性のあるコードを改善するリファクタリング作業は、ソフトウェアの品質を維持・向上させるうえで重要な役割を果たす。
一方で、改善すべきコードを見つけ出し、クリーンなコードに書き換える作業は骨が折れる。従来、この作業は「コードの臭い」(問題の兆候)と呼ばれる直感的な概念とともに教えられてきたが、習得に経験を要するスキルでもある。そのため、まだ経験の浅い新米プログラマーにとっては敷居が高く、苦手意識を持っている人もいるだろう。
しかし本書では、「コードの臭い」に頼らず、経験の少ないプログラマーでもすぐに実践できる、新たな視点からのリファクタリングテクニックを紹介している。例えば、「メソッドが5行以上であること」はすでに「問題の兆候」であると定義し、5行以内に収めるように書き換えていく。このような明確なルールに従うことで、「コードの臭い」がわからなくても、改善すべきコードを見つけることができるのだ。
本書は2つのパートで構成されており、第1部では、GitHubで公開されているコードをもとに、実践しながらリファクタリングの基礎を学んでいく。コードが満たすべきルールの解説に加えて、ルールに違反しているとどのような「コードの臭い」があるのかも説明されており、コードの臭いをかぎ分ける力の習得にも役立つ。また、リファクタリング手法として、どのようなパターンをどうやって適用すればいいのかも1つ1つ手順が解説されているので、考え方や作業のプロセスを追いながら理解しやすい。
第2部では、チームでの開発にも焦点を当て、ルールやリファクタリングパターンを実務でどのように活用するかを掘り下げていく。「コンパイラと協調する」や「コードの構造に従う」といった理論的なものから、「コードを積極的に削除する」「悪いコードを悪く見せる」といった実践的なものまで、実際の現場で役立つ多岐にわたるテクニックを扱っている。
同書はリファクタリングの新たな視点と手法を学べるとともに、何が良いコードと悪いコードを分けているのか、どうすればコードをクリーンに保つことができるのかの理解にも役立つ1冊となっている。
翻訳者より
みなさん、プログラムを渡されてリファクタリングせよと言われたら、どのように対応されますか。リファクタリングの経験がない場合、戸惑うのは当然でしょう。しかし、プログラム内の関数やメソッドを5行以内にせよと言われれば、未経験でも作業できるのではないでしょうか。
本書は、そのような理解しやすいルールと書き換えパターンに基づき、実践的なリファクタリング手法を解説しています。コードの臭いや自動テストといった専門知識は不要で、プログラムの内容を深く理解していなくてもリファクタリングできるようになります。これまでリファクタリングの経験がない方はもちろん、経験のある方にとっても、新たな視点と手法を習得する絶好の機会になります(翻訳者・松田晃一氏)。
本書目次
第1章 リファクタリングをリファクタリングする
第2章 リファクタリングの裏側を見る
第1部 コンピュータゲームでリファクタリングを学ぶ
第3章 長い関数を分割する
第4章 タイプコードを機能させる
第5章 類似したコードをまとめて1つにする
第6章 データを守る
第2部 学んだことを実務に取り入れる
第7章 コンパイラと協調する
第8章 コメントに近づかない
第9章 コードを積極的に削除する
第10章 恐れずにコードを追加する
第11章 コード内の構造に従う
第12章 最適化と汎用性を避ける
第13章 悪いコードを悪く見せる
第14章 本書を終えるにあたって
Appendix 第1部のためのツールのインストール
著者・翻訳者プロフィール
Christian Clausen(著者)
コンピュータサイエンスの修士号を持ち、専門は、プログラミング言語、特に、ソフトウェアの品質とバグのないコードの書き方。ソフトウェア品質に関する査読付き論文を2本共同で執筆し、権威ある学術誌やカンファレンスで再録された。また、パリの研究グループ用のCoccinelleというプロジェクトでソフトウェアエンジニアとして働いた経験があり、2つの大学でオブジェクト指向および関数型プログラミング言語の基礎から応用までを教えた経歴を持ち、その後は5年間にわたりコンサルタントおよび技術責任者として働いている。
Robert C. Martin(序文寄稿)
Object Mentor社の創業者社長で、「ボブおじさん」(Uncle Bob)の呼称で知られる伝説的プログラマー。
松田晃一(訳者)
博士(工学、東京大学)。石川県羽咋市生まれ。『宇宙船ビーグル号の冒険』を読み、絵描きではなく、コンピュータの道へ。海(海水浴)と温泉を好む。著書に『Python ライブラリの使い方~ GUI から機械学習プログラミングまで』、『p5.js プログラミングガイド改訂版』(カットシステム)、『学生のためのPython』(東京電機大学出版局)、『WebGL Programming Guide』(Addison-Welsley Professional)など、訳書に『Web API デザイン・パターン』、『機械学習エンジニアリング』、『プログラミングのための数学』、『データサイエンティストのための特徴量エンジニアリング』、『解釈可能なAI』(マイナビ出版)、『生成 Deep Learning 第2版』、『詳解OpenCV3』、『コンピュータビジョンのための実践機械学習』(オライリー・ジャパン)、『デザインのためのデザイン』(ピアソン桐原)など多数。