三井住友カード、ソフトバンクおよびPayPayと業務提携- デジタル分野で連携強化

三井住友カードと、ソフトバンク、PayPayは、デジタル分野における包括的な業務提携に合意したと5月15日に発表した。この提携に基づき、三井住友カードとPayPayは連携を強化し、新たな取り組みを順次開始する。

今回の提携は、テクノロジーの進化やデジタル化の進展を背景に、金融を担う三井住友カードと、通信・IT分野に強みを持つソフトバンクが連携し、より高度で利便性の高いサービスを共同で提供することを目的としている。

三井住友カードは、SMBCグループの総合金融サービス「Olive」を中核とし、銀行・証券・保険をシームレスに統合した次世代金融プラットフォームを構築。ソフトバンクは、通信を基盤にエンタメ、ヘルスケア、AIなど多岐にわたるデジタルサービスを展開している。

今回の提携ではOliveを起点に、ソフトバンクやグループ各社との間で多岐にわたる連携を進める。まず、ソフトバンク子会社のヘルスケアテクノロジーズと連携し、Olive会員向けに健康・医療サービスの提供を開始。アプリを通じて、時間や場所にとらわれず医療支援を受けられる環境を整備する。

また、保険商品についてもソフトバンクの子会社でインシュアテック(InsurTech)サービスを展開するリードインクスと連携し、三井住友カードのデジタルチャネルからより簡単に申し込めるよう、三井住友カードの保険ポータルのリニューアルや商品ラインナップの拡充を図る。

さらに、決済データと人流統計データを掛け合わせた高度なデータ利活用にも着手。三井住友カードが保有する決済データと、ソフトバンクグループの人流データや外部データを組み合わせた顧客分析ツールの共同開発を進める。

三井住友カードは加盟店に対し、決済データを活用したマーケティング支援を行っているが、今回の連携により、ソフトバンク子会社アグープ(Agoop)の来訪者データと購買データを組み合わせることで、未開拓顧客の特定や施策の効果検証が可能となる。

両社は決済・人流・気象・カレンダーなどの外部データを、ソフトバンク独自のAIアルゴリズムで解析し、小売店や飲食店の来店・購買需要の将来予測にも取り組む。

マーケティング支援では、三井住友カードが提供する「Vポイント」を活用した加盟店向け送客サービスと連携し、より高度なマーケティング戦略の策定や実行支援を通じて、事業者の経営課題の解決に寄与するとしている。

AI活用の面では、ソフトバンクが進めるAIデータセンター建設や、国産の大規模言語モデル（LLM）開発と、三井住友カードの「Olive」におけるUI/UX最適化の取り組みを融合し、顧客体験の向上を図る。今後、両社は日常の利用シーンにおける幅広いAI活用を検討していく。

協業の第一弾として、三井住友カードのコンタクトセンターに、ソフトバンク子会社Gen-AXが開発した音声生成AIを活用した自律思考型AIサービスを導入。利用者一人ひとりに最適な応対を行うことで、常時つながる安心感と高い利便性を兼ね備えたコンタクトセンターの構築を目指す。

また、三井住友カードとPayPayは、各社のスマートフォンアプリを連携させるほか、VポイントとPayPayポイントの相互交換を実現し、「便利でお得なキャッシュレスサービス」の提供をめざす。