
「空飛ぶクルマ」ではデモ飛行を断念するケースも
「関西は世界に誇るライフサイエンスやバイオメディカルの集積地。『未来社会の実験場』として、課題解決型の提案ができるような万博にしたい」――。関西経済連合会会長の松本正義氏はこう意気込みを語る。
開幕した大阪・関西万博は、約半年で来場者約2820万人、2兆9千億円の経済効果が見込まれている。過去の万博では提案された内容が実用化されるものがある。1970年の万博でのワイヤレステレホンは今の携帯電話の基であり、電気自動車や缶コーヒーなどがそうだ。
今回の万博ではパソナグループのパビリオンで”iPS細胞”から作製した『動くiPS心臓』が展示。培養液中で「iPS心臓」が実際に拍動する様子を見ることができ、再生医療など医療の未来を展示している。
他にも製造業向けに技術者を派遣するアウトソーシングなどが顔認証で血糖値が測定できる新たな健康チェックの技術を展示。次世代の移動手段として期待が高まる「空飛ぶクルマ」も展示されている。
足元ではトランプ関税で世界が分断・分裂の様相。その中で建材の約7割をスギなどの国産材を使って作られた1周約2キロの「大屋根リング」が「世界中で求められる”つなぐ”発想の象徴だ」といった声も上がる。
ただ、新たな技術であるがゆえに苦難も出始めている。空飛ぶクルマでは、有人飛行やデモ飛行を断念するケースも。また、来場者が2820万人となるには計算上、1日約15万人の入場者数が必要になるが、開幕した4月13日(日)は約14万人、以降の数日間(平日)は7~8万人前後で推移している。
関西発の「つなぐ」思想を世界に発信する力が求められる。