三井不動産は、物流用途に加え、オフィスや研究施設などのマルチユースペースが建物全体の約半分を構成する、木造構造を採用した新産業創造拠点「三井不動産インダストリアルパーク(MFIP)海老名 &forest」が4月1日に着工したことを明らかにした。
2012年4月の物流施設事業部(現・ロジスティクス本部)立ち上げ以来、本格的な物流施設開発に取り組む三井不動産は、旗艦ブランド「三井不動産ロジスティクスパーク(MLFP)」をはじめ、物流用途にオフィス・データセンタなどを加えた複合用途施設としてMFIPを国内外で積極的に展開している。
今回着工が発表されたMFIP海老名 &forestは、神奈川県海老名市の海老名市役所周辺地区に位置し、物流用途に加えて、建物全体の約半分がオフィス・研究施設・ラボなどのマルチユーススペースで構成された複合業務施設で、テナント企業の柔軟な拠点創造を支援し、社会のイノベーション・付加価値の創出の場となることが目指されている。
同施設では、複数テナント型の物流用途を含む施設として国内で初めて、建物構造の一部に国産木材を採用。三井不動産グループの保有林から採取したトドマツ材を使用し、木鋼ハイブリッド梁の被覆木材や天井などの仕上げ材・内装材に、保有林の木材を積極的に活用するとしている。なお、木鋼ハイブリッド梁は2時間の耐火性能を有する構造部材を採用しており、鉄骨梁の周囲に耐火被覆部材として、石膏ボードと木材を取り付けた断面構成で、木材が炭化を伴いながらゆっくりと燃えることで熱の侵入を抑制し、耐火性能を確保できるとする。また共用部において木造構造や木質デザインを積極的に取り入れることで、鉄骨造で建築した場合に比べCO2排出量を約40%低減することを見込んでいるという。
そして、MFIP海老名 &forestのメインエントランスは、木や植物の風合い・香りを感じられる有機的で柔らかい空間とされ、壁面にはアート作品を設置することで人と自然の調和を表現。このほかにも木材を効果的に活用することで、物流用途施設に求められる耐火性能を確保しながら、来訪者に安らぎと癒しを提供するとした。
なお同施設は、三井不動産グループが新たに立ち上げた木造建築ブランドの名称として4月22日に発表された「&forest」を施設名称に冠することが決定。2026年6月末の竣工を予定しているといい、木造化による木材活用を推進して自然資源を循環させることで、未来に続く持続可能な街づくりに貢献するとしている。